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日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識

大麻草の品種とTHC(マリファナ成分)

本連載では、大麻草を研究テーマに掲げて博士号を取得した赤星栄志氏が、科学的な視点でこの植物の正しい知識を解説し、国内での栽培、関連産業の可能性を伝える。海外では医療利用にも活用されている大麻草のTHC(マリファナ成分)。今回は日本では情報が行き届いていない大麻草の品種による違いと、THCを含む麻の生理活性物質について説明する。

 大麻草(以下、麻で統一する)は、学名でカンナビス・サティバ・エル(Cannabis sativa L.)と名づけられている。これは、植物分類学の父といわれるスウェーデンのウプサラ大学のリンネという博物学者が、1753年に「植物の種」を発刊したことに由来する。植物学名上の分類では、茎の形態の違いによって、カンナビス・サティバ・エル(Cannabis sativa L)、カンナビス・サティバ・インディカ(Cannabis sativa indica)、カンナビス・サティバ・ルーディラス(Cannabis sativa ruderalis)に大別されていた。ただし、今日の生物分類学では、遺伝子解析による分類でアサ科アサ属の一属一種で、ここで紹介した3つの植物学名は参考程度となっている。

 麻の話の中では、よく“カンナビス”という言葉が出てくるので知っておいても損はしないだろう。例えば、 帆布やテント生地、絵画用画布などに用いるキャンバス(canvas)といえば、綿または亜麻などの繊維で織ったキメの粗い布地を指す。この語は、もともとラテン語で麻を意味するカンナビス(cannavis)から生まれたもので、当時は麻が使われていたのである。


麻の品種には薬用型と繊維型がある

 麻には、薬用型、中間型、繊維型の3つの生理的な違いによる品種がある。この違いは、THC(デルタ‐9 テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)の2つの化合物の割合で決まる。THCはマリファナ効果のある化合物である。薬用型は、THCが2~25%含まれ、CBDをあまり含まない。中間型は、THCとCBDが同じくらい含まれるが、作用としては、THCに支配される。繊維型は、CBDがTHCよりも多く含まれ、THC含有量も0.25%未満の品種である。CBDには、THCの精神作用を打ち消す働きがあるため、繊維型を煙にして吸い込んでもいわゆる「ハイ」な気分にはならない。

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