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【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
大麻草の品種とTHC(マリファナ成分)
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第2回 2013年01月17日
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ヨーロッパ、カナダやオーストラリアなどでは、THC0.3%未満の品種を産業用ヘンプ(IndUSTRial Hemp)と呼び、この品種が40品種ほど登録されている。各国で認可された麻専門の種子会社から各農家へ栽培用に供給されている。しかも、繊維型の品種であればマリファナ効果がないので、種子や茎の利用だけでなく、葉はハーブティに混ぜる茶葉として、花穂は精油をとって甘い柑橘系のにおいが特徴の香水として商品化されている。
日本では大麻取締法で葉と花穂といった植物の部位で規制されているので、たとえTHC濃度が低い繊維型の品種であっても、葉と花穂の畑からの持ち出しは禁止されており、それを使った商品開発をすることはできない。日本と他の国では、規制の基準が違うのである。
カンナビノイドは麻独特の成分
麻の成分研究は1898年にダンスタンとヘンリーらが開始してから数多くの変遷があり、1964年にイスラエルの化学者メクラムらによってマリファナの主成分であるTHCの構造が同定された。THCの構造が決定するまでに長い年月を要した理由は、カンナビノイド(麻に含まれる約100種類の生理活性物質の総称)の大部分が油状であり、取り扱いが難しかったからだと考えられている。
薬用型は、THCを多く含む品種であるが、新鮮な麻の植物体内では、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)という形で存在しており、この状態では精神活性作用を引き起こさない。THCAは、麻を乾燥させて喫煙や気化する際の加熱によって、脱炭酸化が起こり、THCに変換されて初めて活性作用をもたらすのである。「なぜマリファナはタバコのように喫煙するのか?」という謎はこれで説明できる。
THCAおよびCBDAが麻の植物体内でどのように生合成されているかについては、70年代にメクラムがCBGC(カンナビゲロール酸)→CBDA→THCAという推定経路を提唱していた。しかし、九州大学薬学部の正山征洋教授らは、THCA生成の触媒となる酵素(THCA合成酵素)の研究を行ない、CBGC→THCA、CBGC→CBDAという別々の経路があることを90年代半ばに世界で初めて明らかにした(図表2)。この研究から、薬用型にはTHCAを合成する酵素が、繊維型はCBDAを合成する酵素があり、2つの酵素の有無が品種の違いであることが分かったのである。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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