ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

春からの野菜作 パセリ・ミョウガ・ウド・ユズ

ウド 稲作農家の冬の作物で キンピラなど新メニュー


【概況】

 ウドという品目は、本来の山ウドが一種の山菜であったことを考えると、春先の野菜であり、その名残りが4月にピークを迎えることで残っているようだが、現在では、年がおけると出荷が増大する。夏に向かって数量が減るとともに単価も上げこの基調は、年内中は変化ない。一月に入ると急増して単価も下げる。クセのある野菜のひとつだが、ウドは寒い間の野菜、というイメージが定着している。

 数量、単価とも過去数年では変動はありながらも一定ラインを保っており、数量的にはマイナー野菜でありながら、それなりの地位を確保しているといっていい。平成六年の特徴は、1~4月“シーズン”に多く季節外れにはやや減少ペースで入荷していたことだろう。


【背景】

 主産地は、古くからの軟白ウドの産地である東京都下、そして、近年急成長してきた栃木である。栃木の場合、年明けからの出荷が多いのは、稲作農家がコメの後に作付けて、年明けに出荷するというパターンを定着させたためだ。栃木産は、新興産地だけに促成産地の例のように、技術を篤農家が独占するのではなく、生産部会で公開して技術が平準化しているためだ。

 また近年、年明けからのシーズンに出荷が集中する傾向にあるのは、春にかけての旬感覚を売りにしようという、産地と小売店の意向が一致したことにあるようだ。一方、三番手の産地である茨城は、この逆をいっており夏場以降に力を入れて、単価を稼ごうという意図だ。


【今年の対応】

 ウドは今後、生産が拡大しそうな情勢である。そのヒントは栃木産がこのところ拡大していることだ。栃木県は関東地区では随一のコメ作り県で、耕地の水田率は75%を超える。このコメ中心の県が、野菜などの園芸に転換するためには、まずコメの後作をどうするか、という観点から野菜作りを検討する。ちょうどその作付体系がウド作りに向いていたからだ。同様に全国各地で今後コメの後作問題が検討されたとき、ウドが格好の対象になるだろう。

 ウドはヌタのような食べ方のほか、テンプラや牛ンピラなど、油を使った料理が意外においしい。こうしたメニュー提案で若年層にも需要を広げることで、新しい品目として成長できる余地がありそうだ。

関連記事

powered by weblio