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【“被曝農業時代”を生きぬく】
原木シイタケの生産とともに里山再生を目指す(上)
- 編集部
- 第18回 2013年01月17日
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良質な福島県産原木
なかのきのこ園は原木シイタケの栽培を始めて40年以上になる。飯泉孝司さん(64)は、一代で築き上げた同社を全国最大規模の生産組織に成長させた。圃場面積3.5haにある20棟のビニールハウスで、毎年50万本のほだ木でシイタケを育ててきた。
うちでは原発事故が起きるまで、毎年22、23万本の原木を購入していました。一度植菌したら、シイタケが取れる間、3年ほど使い続けます。原木はごくわずかに種苗会社が植菌したものを買っていますが、それ以外はすべて福島県産。もう40年以上の付き合いですね。
なぜ福島県産を使うかといえば、品質と価格、どちらをとってもほかに及ぶ産地はないから。幹が太すぎず細すぎず、長さもちょうど良い。うちのような大規模経営になると、植菌するのに機械を使うもんだから、素直な木がどうしても必要になるんです。曲がっていたり、枝の痕跡であるがあったりすれば、機械加工に向かない。福島県は原木を生産するため里山を丁寧に管理しているのだから、他の産地に負けない良質な原木を提供してくれるんです。
原木確保のため全国を奔走
それほど信頼していた福島県産の原木だったが、原発事故をきっかけに供給がストップ。全国で福島県産を愛用していた農業者は関係機関に窮状を訴えた。これを受けて林野庁が2010年11月4日に発表した需給情報によれば、全国で120万本の原木が不足。その後、放射性セシウム濃度の指標値が厳しくなったこともあり、昨年9月末現在ではさらに増えて189万本が足りなくなった。
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