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“被曝農業時代”を生きぬく

原木シイタケの生産とともに里山再生を目指す(上)



 とにかく困った。うちでは北は岩手から西は島根まで、原木を集めるために奔走しましたね。大分で2万本、島根で1万本といった感じで各地から集めました。それでも昨年は例年より約8万本足りなかった。それに、福島県産に比べれば質が劣る上、供給不足で価格が高騰している。1本当たりの平均価格は原発事故前に比べて100円ほど上がり、現状は280円ほどでしょうか。今年は必要な量が何とか集まりそう。ただ、それも風評被害で需要が減っているので、例年より少ない20万本も集まれば十分です。


セシウム低減へ洗浄機を試験

 原木シイタケでも風評被害が出ているように、消費者は敏感になっている。検出される放射性セシウムを少しでも減らそうと、飯泉さんは原木を洗浄する機械の開発を試みる。

 農機メーカーの高橋水機(埼玉)に依頼して、ダイコンの洗浄機を改造し、それを2台つなげて洗浄工程を長くして使っています。工程が伸びた分だけ水で洗っている時間が長くなり、放射性物質がよく落ちるからです。入口からローラーで送り込みながら、その途中で水を吹きかけていく原理。これを2組用意し、1日当たりの処理能力は1000本ほど。洗浄した原木からは国の指標値を超える放射性セシウムが検出されることはありません。また、洗浄に使った水は濾過して処理しているので、指標値以上の放射性セシウムは不検出です。

 困ったのは水の確保でした。何しろ1本を洗浄するのに、80~100リットルの水量が必要なんですね。洗浄のため外界と隔離するため用意したハウスの横に、わざわざボーリングして地下水をくみ上げています。そのための電気代も毎月7、8万円ほどかかり馬鹿になりません。あまり多くの水を使えば、周囲の評判も良くないし、不経済です。だからメーカーと一緒に、濾過した水を貯めて、再び洗浄に使えるようなシステムを構築するつもりです。近く岩手、福島、うちの3カ所で実験を始めます。


里山の再生なくして原木栽培なし

 原木を除染する一方で、飯泉さんが気になっているのは汚染された里山である。原木シイタケの生産とは切っても切れない間柄であるからだ。

 重要なのは、原木となるコナラやクヌギを定期的に切り出すことが、里山の保全にもつながることです。私たちは仲間4人で年間42万本の原木を福島県から買っていました。10a当たりから切り出せるのは700本から800本。だから、我々だけで60ha以上の里山を保全していた計算になる。

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