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今年の市場相場を読む

イチゴの品種間 棲み分けの行方 とちおとめ、あまおう、さがほのか、紅ほっぺ



あまおう 高級アイテムとして不動の地位。サンリオキャラやDNA鑑定も

【概況】

東京市場へのあまおうの入荷量は、イチゴ全体の2割弱、そのほぼ100%が品種を独占している福岡産である。主要品種のとちおとめに比べ単価は3割以上高く、一線を画す。入荷のピークは4月で、シーズン後半は価格もかなりこなれるが、それでも他品種より単価は高い。2005年の品種登録と同時に東京市場では統計が独立し、以降、イチゴ全体の入荷量が減少傾向にあるなか、入荷量は維持されている。

【背景】

あまおうは、とちおとめとさがほのかの後に登場して以来、高級品種と位置づけられ、差別化商材の目玉になっている。品種使用許諾を他県に開放せず、県内に限定してブランド化した数少ない例外事例である。その意味でかつての二大品種のようなイメージの品種ではなく、量販品種に対抗する差別化品種として初めから棲み分けを狙った戦略が当たった。福岡県に品種開放の予定はなく、他県で栽培するとすれば特許期限が切れる2026年からだ。

【今後の対応】

福岡県では、あまおうの発売にあたり、「いちご王国」という架空の国を運営するサンリオと提携し、「いちごの王様」などのキャラクターを作った。また、新宿高野や三越などの高級果実店でケーキやゼリーなどでの採用を仕掛けたり、東京などでイベントを実施するなど積極的な宣伝、メディア戦略を展開している。品種保護のため、DNA鑑定まで行なって違反摘発にも熱心だ。生産技術も安定化に向かっており、当分、この品種の独壇場は続くだろう。

さがほのか 品種開放で広域流通と地場対応。今年はリカちゃん親子キャラで

【概況】

東京市場のさがほのかの入荷量は全体の1割程度で主産地の佐賀が95%前後を占める。愛知、宮崎、熊本からの入荷があり、産地の主体は九州圏である。品種登録は2001年だったが、東京市場での入荷統計の独立は系統栽培面積で全国2位になった06年から。当初、年間4000t以上あった入荷は昨年、一昨年と3000tを切るまでに。位置づけはとちおとめ同様、量販向けのローカル品種だ。

【背景】

とよのかから転換が遅れていた福岡県を尻目に、佐賀県が先行して発表した新品種。品種使用権許諾を広く募った結果、九州圏では熊本、宮崎、鹿児島、大分などが導入した。それによって章姫やアイベリー、さちのかなどより普及拡大が早まったと考えられるが、一方で福岡県があまおうの品種独占に走った原因にもなったといえる。合計面積がありながら東京市場のシェアが低いのは、各県でローカル品種として定着しているためでもある。

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