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農業経営者ルポ

米作りに「自信」はないが「責任」は持ってる

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第15回 1996年02月01日

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 稲の収穫調製作業が一段落付いた頃からは、ボカシ肥作りと籾がらクン炭作りが始り、3月一杯まで続く。

 ボカシ肥は半分が米糠、2割の油粕を主に、魚粉、焼成骨粉、カニガラ、その他諸々を混ぜている。米糠は、すべて自前のものを使う。小さなミキサーでこの混合作業をするのは骨が折れる。その省力化の方向を検討している。クン炭作りも小さな炭化装置を使うが同時に籾酢液も採取し、これが西川さんの重要な「防除手段」になっている。

 育苗は、もちろん種子消毒もしない。たっぷり有機質の入った培土で健苗を作ることが肝心である。

 圃場での春作業はクン炭、ボカシ肥の散布とレンゲの鋤込みから始まる。

 耕うんは4月の下旬までに終わらせる。花が咲く頃から落ち加減まで。本当は実が落ちてからの方が望ましいのだろうが、田植がそれほど厳密にはできない。鋤込みは踏み付けるレベルでの1回目のロータリ掛けの後、2回目に普通よりやや浅めにロータリを掛ける。草を減らすためにもプラウでレンゲごと反転鋤込みをして、土を乾かしてから水を入れる方法も検討しようとしている。

 代かきは4月の下旬から5月上旬にかけての間。レンゲを鋤込んでから田植えまで20日開位を見ている。鋤込んで水を入れ、5日から7日そのままにしておいた後でハローをかける。「耕起や代かきの方法を含めまだ検討の余地はあるのでしょうが、草の対策というのが何にも増して優先する」のだという。浅耕にするのも「レンゲのアクの除草効果があるのではないか」と考えてのことだそうだ。

 地域は日本晴が指定品種になっており、コシヒカリを作る西川さんと作期がずれるので作業を受託するのに都合が良い。

 連休の間に水路の掃除をして、それ以降に田植が始まる。田植は5月中旬から6月下旬まで。

 除草は、太昭農工機のミニエースという株元除草のできる除草機を2台買って使っている。だが、能率的にはもう一つ物足りない。そのほか、コイを10cm位のものを100尾位(10aあたり5kg程度)放流して除草をさせる。コイは収穫前に水の出入口に10cm位の深さの穴を掘りそこに集まったコイを取上げ、さらに別の池で育てているが、商品にはなっていない。除草剤をまったく使わない西川さんの田ではカブトガニが湧きだすように発生し、それだけで具合よく初期除草ができたこともあるそうだ。

 防除のための防除ということは特にしない。クン炭を作る時に取れる籾陛准が唯一の防除剤ということだ。山が迫った霧のよく発生する地域にもかかわらずイモチや特に大きな病害虫被害は受けないという。

 乾燥調製は低温で2~3日かけて2段乾燥し放熱にも気遣い選別も丁寧にする。手を掛けた有機栽培米の味も最終的には乾燥調製で決まるという西川さんのこだわりだ。その仕事ぶりに乾燥調製の作業を頼まれることも多い。

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