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丹波ふるさと塾
西川さんの米作りに共鳴し、その米を購入する消費者や米穀店、自然食品流通業者で組織する「レンゲの会」というグループができている。いってみれば西川さんの後援会組織だ。会員数は約百名。さらにその中に西川さんの農業を一緒に体験し、その手伝いをしようという人々がいる。丹波の朝霧にちなんで「朝霧会員」という。毎回参加の人から月1同程度の不定期参加者もいる。住んでる場所も、京都、大阪、奈良の各県にわたり、職業も様々でアメリカ人や中国人などの外国人や20代の学生から60代まで様々な職業や年代の10数名の人たちだ。西川さんは、その人たちとの活動を「丹波ふるさと塾」と名付けている。そして、会員の力を措りるとともに会員に対して西川さんの農業を伝えることが、農家としての自分の責任だと考えている。
きっかけは3年前、西川さんの「農業体験しませんか」という呼びかけが新聞に紹介されたことからだった。
西川さんがやっているのは、単なる親睦や、お米や野菜を買ってもらうための客寄せでも、ムード的に農業に共感を持って貰うための」日限りのお祭りでもない。単なる都市住民を呼び込んでの農作業体験ではなく、非農家が農家そのものになる体験なのである。農家の仕事を通して人開か「自然の消費者」であることを自覚し、自然との係わり方を学んでいく、文字通り「塾」なのだ。
西川さんは、正月三が日を除く毎土日曜日と全ての祝祭日に彼らを受入れる。
遊び半分ではない。文字通り、年間を通してあらゆる農作業に作業者として参加してもらうのだ。朝9時から手元が見えなくなるまで、それこそヘトヘトになるまで働く。礼儀はあってもお客さんではないのだ。無農薬栽培であるだけに、多くの農家がやらないけ事だってある。
会員からは会費を取らないし作物の購入を条件とするわけでもない。それどころか宿泊や食事の世話を西川さんが提供し、やはり無農薬栽培の野菜類や手作り味噌などは来た度にお土産として持たせている。西川さんは体験参加者の参加回数にあわせて勤務評定を付けている。1日参加すると1ポイントを付け、それが 20ポイントになると玄米60kgをボーナスとしてプレゼントする。働き分に合わせて汗の喜びを分かちあおうというわけだ。
農業は誰のものか?
西川さんは「会員の協力があって6haの無農薬稲作が可能」なのだという。でも、それ以上に会員の人たちは農業を通して、自然に向かって汗をかくこと、体感することを求めているのだ。そこでの農作業や自然への向き合い方そのものに共感して来ているのだと思う。時には西川さんの家の山に入っての松茸狩りなんていう楽しみもある。しかし、そんな時にも「もっと山の整備をしよう」などという話しが会員の側から出てくるのだそうだ。
正直なところ、西川さんは草取りの時期にその作業を考えると憂僣になる。しかし、会員の人たちから「来年はもっと草の少ない田にしよう」なんて声が出てくる。むしろそれが西川さんへの励ましになる。そればかりか、各種の野菜作りや山仕事など、会員たち自らが西川農場の新しい仕事を作りだしているということも多い。西川さんは
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
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