ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

“被曝農業時代”を生きぬく

原木シイタケの生産とともに里山再生を目指す(下)

茨城県つくば市にある(有)なかのきのこ園で1月24日、東日本原木しいたけ協議会の会員の生産者と消費者が集まった。飯泉孝司会長は、原木シイタケづくりと切り離せない森林を除染する原資として、「里山再生基金(しいたけ用原木再生基金)」の創設を提案。次代に負の遺産を残さないため、原木を生み出す里山を自分たちの手で取り戻す方向を探り始めた。

「里山再生基金」の創設へ

 原木シイタケを作り始めて40年以上。私にとって里山の再生は、最後の仕事と言えるでしょうね。里山で間伐がされなくなれば、日本で原木シイタケの生産自体が途絶えてしまうのですから。その原資を集めるためには、もちろん自腹を切る覚悟です。ただ、それだけではまったく足りない。ですので、まずは東電、それから消費者や林業者たちからにも寄付を募ります。

 何しろこれだけの大きな事故です。風化させてはいけない。だから、東電にはお金を出してもらうだけでなく、その社員には植林に来てもらいます。お金を出すだけでは、すぐに忘れてしまいますよ。現場で汗を流してもらうことが大事なんです。それも一端植えたら終わりではない。定期的に下草刈りもしてもらう。当然のことでしょう。


里山管理の人材育成に着手

 原発事故後に生産者が設立した同協議会は、原木の確保や賠償問題で関係機関と交渉を重ねてきた。その熱意は国を動かす。林野庁は昨年12月6日、安全な原木を育成する手順を示した文書「里山再生基金の実現に向けて」を飯泉さんたちに提案。同庁の新年度事業で活用できるものを具体的に提示した。

 林野庁からは、里山再生について次のような5つの課題項目を示されました。


(1)候補地の条件設定
(2)候補地に応じた具体の事業計画 づくり
(3)候補地に権限を持つ者との交渉
(4)作業に必要な人員の確保
(5)資金の確保

 このうち(1)と(3)は解決しました。旧友にお願いして、彼が所有する5haの里山が使えるようになったんです。県の「湖沼環境税」を使い、すでに下草刈りは済ませました。これからクヌギやコナラを植林し、およそ20年後に原木として伐採したい。

 それからコナラやクヌギを切り出す、それを運搬する作業者、彼らのスキルを育てなくてはいけない。その研修施設を設立します。2013年の秋から冬にかけて里山に入り、広葉樹や針葉樹を切り出す作業者を実地で育成するつもりです。とにかく課題は多いですが、やれることからやっていく。地域の住民や林家さんのご協力を呼びかけていきたい。

関連記事

powered by weblio