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“被曝農業時代”を生きぬく

原木シイタケの生産とともに里山再生を目指す(下)



加工品で需要の回復を

 生産者の悩みは良質な原木の確保や除染だけではない。原発事故後から原木シイタケの需要が低迷している問題もある。国の指標値を超えたことによる出荷停止や風評被害があり、シイタケの全国消費量は原発事故が起きた11年は7万7000tにとどまった。前年対比93%である。

 うちでも原木シイタケの売り上げは約5割になりましたね。それも、時間が経つごとに悪くなっている。もちろん安全対策は万全です。トレーサビリティのため、原木一本一本にはチップを付け、その色でどの産地の原木かが分かる。指標値を超えるシイタケが見つかれば、すぐにその産地の原木を廃棄するなどの対応をします。それに原木は一本一本、洗浄機で除染はしている。そうした努力にも関わらず、一度離れた消費者はなかなか戻らないんですね。前のように生や乾燥のシイタケを売るだけでは限界があるのかなと。だから、加工品もやらなくては経営が続かないと思い立ちました。

 いま試作しているのはシイタケ。シイタケの粉末を混ぜてある皮で、肉厚のシイタケを包んで蒸したものです。原木シイタケならではの香りが楽しめる。これは本当においしいですよ。手作りなので大量生産が難しいため、茨城県の6次産業化の事業を活用して業務用の冷凍庫を入れました。これである程度、作り貯めできる。道の駅やパルシステムにご協力をお願いして、1個300円で販売するつもりです。ほかにニンニクとオリーブ油、塩が原料のシイタケペーストも作りました。これはパンや肉に塗って食べてもらう。10月にはつくば市内に加工場を建て、軌道に乗せていきます。


次代につなげる

 飯泉さんは若手の後継者に諭しかけ、20代から50代の生産者38人でつくる「縁~原木しいたけ復活ネットワーク」(代表・大木貴博氏)を設立させた。彼らは今後、効果的な除染を促す薬剤の選定や付加価値のある栽培法などを検討する。その成果は年間3回、会員向けの広報誌で紹介していく。

 若手は横の連携が十分にできていない。これからのシイタケ生産を担う自覚を持ってもらうためにも、組織をつくって話し合ってもらえればと思った。その中で人材が育ってくれれば嬉しいですよね。

 今は大変だけれど、10年後、みんなが「原木シイタケを作り続けていて良かった」と思えるようにしたい。そのためには一刻も早く、除染技術の確立と里山の再生を実現しなくてはならない。それから、消費者に買ってもらわなくては。ただでさえシイタケは菌床に代わってしまい、原木の生産量は全体の15%ほどにまで落ちてしまったのですから。いまは必死の思いなんです。

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