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シリーズ TPP特集

本誌1・25TPPセミナーより 暴かれたおばけの正体(上)

弊社が1月25日に東京都内で開催した公開セミナー「TPP基礎・応用・実践講座」で、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「TPPおばけ※は、もうほとんど消えたと思う」と語った。TPPを巡っては、「例外なき関税撤廃」や「農業は壊滅する」といった情報が流れてきた。反対派や慎重派は、これらの情報をおばけのように感じ、意図的にか非意図的にか怯えてきた。だが、今やそれらが事実無根であることは明白になったのだ。

 日本はもはや足踏みをしている場合ではない。TPP参加国が目指す妥結時期は10月。新たな参加が認められるまでには、米国議会による90日間の審議を経なければならない。逆算すると、7月の参院選までに世論をまとめて、政府がゴーサインを出さなければならないのだ。

 そのためには、必要となるTPPに関する情報が少ないという指摘がある。だから、参加すべきではないという主張もある。だが、そもそも現状の参加国が外部に交渉の進捗状況やその詳細を漏らすはずがない。むしろ日本は参加して、交渉の過程で確かな情報を得ながら、TPPをリードする役目を担えるはず。もちろん、日本にとって総じて不利な結果となれば、脱退は可能だ。それが不可能というのも、また、おばけの仕業である。

 繰り返しになるが、参加に向けた議論を早急に進めなくてはいけない。日本の農業にとっても、TPPには大きな可能性が秘められているだろう。それを知るには、まずは交渉に参加するより他はない。

 当日のセミナーでは山下氏とともに、慶応大学総合政策学部の渡邊頼純教授と浅川芳裕本誌副編集長(農業ビジネス編集長)が講演した。今回の特集ではTPPに関する誤解を解くため、山下氏と渡邉氏の講演内容を基にもう一度、TPPおばけの化けの皮をはがしてみたい。(取材・まとめ/窪田新之助)

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