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特集

売ることから発想するこれからの農業
作れるだけでは半人前!!

【値は下がる無茶は言われる それでも期待には応える】

 自社のサツマイモ作付面積35hのうち 25柚は借地。生産者の高齢化が進み、作付けを委託されるケースが増えている。

 もともと東海村近隣地域は、サツマイモを中心に、ゴボウ、落花生での輪作が成り立っていたが、この1 0~15年の間にその循環の体系が崩れている。

「外国産に最初にさらわれたのが落花生でした。その後ゴボウも中国から入ってきて相場が崩れた」

 するとサツマイモの連作を続けるしかない。次第に土壌消毒を強化しなければなくなった。しかし、化学肥料や農薬漬けの作物では消費者にそっぽを向かれてしまうという危機感も抱いている。いずれは有機栽培を実現したい。

 そこでまず連作による障害を回避するため、4~5年寝かせた牛糞堆肥を入れてプラウで切り返したり、緑肥(ヘイオーツ)を蒔いたりと試行錯誤を繰り返しているが、なかなか思うような物がとれない。一方、年々人件費も上昇しているので、荒利を下げるわけにはいかない。あせらず、間違いのない方法で慎重に進めていかなければならない。

 干し芋は、東海村、ひたちなか市、那珂町、大洗町などの生産農家から、11~3月の間に完成品を直接現金で買い付けている。その後マイナス25度の冷凍庫で貯蔵し、通年で出荷している。

 毎年8~10月には全国の得意先に足を運んで市場調査をする。小売店間の競争は年々激化しており、その影響がストレートに返ってくる。また、新しい会社ほど直接取引を望むが、納品、価格、品質管理、すべての面で要望が多い。 

「明日の朝店頭に並べるというのに、オーダーはその日の夜中に出すと言う。これじゃ注文受けて真っ直ぐ走っても間に合わない!」

 そんな無茶な要求も少なくない。

 競争に拍車をかけているのは、地方都市への大型量販店の出店である。そうした会社は市場を通さずに直接買い付けるため、これまで照沼さんが市場に納めていた分か打撃を受けることにもなる。また、得意先が他社に買収されると、突然取引が止まることもある。仕入担当者が代わっただけで状況がコロリと変わることも。いつ何が起こるかわからない。

 また最近は、小売店の要望でパ。ゲージや内容量を変えて出荷しなければならなくなった。中身は同じでも専用のパッケージをつけてストアブランド(小売店が開発した商品)として売りたがる。そこで、現在は得意先の要望に合わせて60種類のパックに分けて出荷している。それにともなうコストや人件費も年々増える一方だ。そして競合店の間で、同じ照沼商店の商品が価格競争を繰り広げることにもなる。シェアが大きいゆえの悩みも尽きない。

 また干し芋のシーズンが始まる12月には、各地の小売店で「特売」のキャンペーンを打つ。通常298円の商品が、この時は198円。最も食味が良いとされる1~2月産の干し芋に較べて若干品質が落ちる12月産のものを売り切るという意味もあるが、それでも小売店の30%の取り分は変わらない。

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