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特集

売ることから発想するこれからの農業
作れるだけでは半人前!!

 また、健康管理のために医者にサツマイモを食べることを勧められた人が、1シーズンに5万~6万円分購入するといったケースもある。

「本当にうちの干し芋が好きな人、必要としてくれるお客さんに、損をさせるわけにはいきません」

 始まったばかりの通信販売の事業だが、事業化以前にも消費者が直接照沼商店に注文してくるケースはあった。その頃でも年間1500万円程度は直売で売っていたという。その数字を何倍にできるか。とは言え、狙いは売上げばかりではない。消費者の声がダイレクトに届くホットラインから得られるものは少なくない。最終的に口にする人たちの気持ちや考えを作り手白身が得られることになるのだから。勝浩さんは顧客リストを眺めつつ、オーダーの入り具合や、「おかわり」(リピート)してくれた人の名前をチェックするのがだんだん楽しみになってきたという。

 また、今後は通販を干し芋一品で止めおくつもりもない。東海村の近郊の旭村、大洋村、鉾田町には、意欲にあふれる若い生産者が数多くいる。そんな地元の生産者とネットワークを結び、メロン、ニンジン、ダイコン、ジャガイモなど、優れた商品を干し芋と同じ方法で直接消費者に送り届ける計画だ。 

「いままでの私たちはサツマイモを扱うrdquo;影”の存在でした。でもこれからはあえて”表”に立って販売していきたい」

 これまでの仕事で、よい商品=強い商品を作り、集めるしくみができた。次はそれを末端の消費者に売るためのしくみも自社で持つのだ。強い商品と強い売り場――流通に身を置く誰もが羨む強靭な企業に向かって、農業経営者、勝浩さんたちの奮戦が続く。(三好かやの)


銘柄豚を育てハムソーセージを開発
顧客との交流は農業公園開園へ発展


 三重県の伊賀地方、滋賀県に境を接する阿山町。のどかな水田地帯を縁どる丘陵地の雑木林の斜面に、ログハウスの建物が点々と並ぶ。手づくりウィンナーや生ハムの体験工房あり、地ビールのブルワリーあり、ビアレストランあり……。全体のコンセプトは、「自然・農業・豚」をテーマとしたリゾート公園。つまりは最近流行のテーマパーク。その名は「伊賀の里モクモク手づくりファーム」という。昨年7月のオープン以来、入場者数は実に16万人を超える。 

「農業をテーマに村おこし事業に取り組むところは多い。でも、うちの形だけをマネしても、うまくいきませんよ」

 と、農事組合法人伊賀の里モクモク手づくりファーム専務吉田修さん(惹成)。吉田さんたちがこのような事業に着手したそもそものきっかけは、1988年地元産銘柄豚「伊智豚」を素材とする食肉加工品の製造・販売をスタートさせたことにさかのばる。そのときつけたハム工房の名前が「モタモタ」たった。普通なら「伊賀山麓ハム」などと堅苦しい名前をつけるところだ。しかし吉田さんは白分かちの仕事に別な思い入れがあった。 

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