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特集

売ることから発想するこれからの農業
作れるだけでは半人前!!

 現在巡回する先は浅草、上野、御徒町、さらに日暮里、北千住とかなり広い。車を止める所は14~15力所。1ヵ所5~6人、多い所で10人くらいが集まる。東京都西部の高井戸や荻窪など、車でも回り切れない地域に移った人たちには電話注文と宅配便で応じている。そこまで長い付き合いにさせるものは、是が非でも“売りたい”という気持ちではなく、待つ人に“届けたい”という気持ちのようだ。

 行商には夏場は週2回、冬場は週1回出掛ける。1年を通しての主力は「まじりっけなしのコシヒカリ」。精米から袋詰めまで自ら行ない、1袋7kg3800円で売っている。

「一度東京で売ってる安い米を食べたけど、おいしくなかったからまた買うって人もいる」

 浅草の軽食堂では、新海さんの米にしてからお客が増えたと言う。同様に枝豆の味が好評でお客が増えたと言う居酒屋もある。そんな話をする昭一さんは実に嬉しそうだ。

 その枝豆も米も、自分たちで売るものの値段はすべて自分たちで決めている。

「枝豆は、東京のお盆の7月10日頃は250gで350円。8月を過ぎると400gで350円。走りも旬も、値段はずっと同じ」

 農業新聞の市場価格を目安にするというが、価格決定の基準はあくまでも買い手にとっての値頃感にある。まず売価を決め、収穫に応じて分量を調節する。そうすればお客は常に買いやすく、売り残しも出さずにすむのだ。

 行商用の車は現在のワゴン車(ディーゼル 2800cc)が3台目。これに様々な種類の商品を積み込む。自分の圃場で作った大根、白菜、ホウレン草、小松菜、自家製の大根と白菜の漬物、玉子、冬場ののし餅も定番だ。

 商品に玉子が加わったのは15年ほど前。あるお客さんの「いい玉子は手に入らないか」という声がきっかけだった。昭一さんは町内の養鶏場から玉子を仕入れることにした。お客さんが求めるものがあれば、自分でいいものがそろえられるならなんとかしたい。そして満足した顔が見たい。そんな思いだろう。

 イチゴが加わっだのは10年ほど前。隣の家がハウス栽培を始めたのがきっかけだった。

「堆肥をいっぱい使って、いいもの作ってる」

 直接ハウスまで出向いて買いつけるから、土の状態も作柄も一目瞭然。自分で作ったもの以外でも、いいものを見つければお客さんに奨める。そうすれば仲間の役にも立てる。

 行商に出る当日は午前2時起床。漬物の袋詰めを終え、4時頃に小林駅前の市場へ到着。自分たちのやらないハウスのトマト、キュウリなどを仕入れる。さらに隣の駅の木下の朝市に寄り、近場で入手できないジャガイモ、玉ネギなどを確保。すべて現金取引である。

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