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特集

売ることから発想するこれからの農業
作れるだけでは半人前!!

 KEKグループ代表の地位にある一方で、宮田さんは日本協同企画(株)(昭和60年設立)の代表取締役も務める。その主たる業務内容は、実用新案特許製品の開発だ。簡単に言えば、宮田さんが考え出した”発明”を製品化する会社である。たとえば工作機器メーカーと協力しながら開発した製品の実績を見ると、「トマト選果機用の自動引出ベルト」、「ビニール自動巻取機」、「自動車用の衝突緩衝装置や集塵装置」などなど。先のイタマーズもその一つだ。その販売、設置サービス業務も事業内容に含まれる。イタマーズの評判を聞きつけて導入に踏み切った売事業所は、すでに全国12力所に及ぶ。 

「1機5、6000万円から1億5000万円程度までプラントとしての規模はさまざまたが、うちぐらいの大きさの組合に導入するとしたら、効率の点でこのイタマーズに勝るものはない」と、宮田さんは自信を込めて言い切る。

 そのメリットは労働力の削減ばかりではない。1本ずつラッピングされているから、流通過程での鮮度劣化が少ない。店頭での日持ちもする。そのままの形でのバラ売りも可能だ。たとえば卸先の一つである水戸市内のスーパーでは「いつも新鮮なキュウリを必要な本数だけ買って使い切れるから便利」と、主婦からの評判も上々だ。それでいて、人件費や、販売時の包装代といったコストが下がっているから、個包装とは言え価格が競合品よりも高くなるということはない。

 また、協和町の場合、組合員が栽培しているキュウリは、現在市場の大半を占めるブルームレスのキュウリではなく、従来の”ブルームつき”の品種である。 

「ブルームレスの台木が出回った当時試験的に作ってみたりしたが、味はいま一つ。それがちょうど、直売や宅配に本腰を入れ、消費者に接する機会が増えたころです。消費者に聞いても、従来品種のほうがおいしいという声が圧倒的。それでうちは、昔ながらのキュウリをお届けする、品質重視の路線でいこうと」

 品質にこだわったキュウリを、いかに効率よく出荷し、なおかつ鮮度を保持するか。この目的に沿って開発されたイタマーズは、キュウリという”商品”に対し、1本ずつのラッピングという”オリジナリティ”をも加味している。まさに 一石二鳥どころか、三鳥なみの効果だ。

 しかしこれを評して、単に宮田さんに”発明”の才があったのだというのは、正しくない。一番のポイントは機械の性能そのものではなく、機械を導入する際の“姿勢”なのである。 

「機械はなによりまず、人間が使うものでしょう?」と、宮田さんは言う。 

「ところが、農家にとっての使い勝手を無視した機械が多すぎる」

6年前ほど前、トマトの選果機を新しくしたときのことである。 

「トマトは、生産技術が上がれば上がるほどLやMのサイズに集中する。ところがそれまでの機械は、一つのサイズに集中したら、流れを一時ストップしないと箱話めの作業が間に合わなかった」

 組合員が作る先の尖った品種のトマトは、機械にかけると傷がつきやすい。その心配がなく、処理能力は従来の倍以上の選果機が、KEKグループの発展のために不可欠だと宮田さんは考えていた。それで考案したのが、一箇所に作業が集中しても箱詰めが円滑にこなせる構造を持つ「自動引出ベルト」である。出荷時の作業効率は大幅にアップし、生産量も増大した。トマトのハウスの作付面積は、組合員ひとりあたり2倍から3倍にもなり、現在は平均30aに達している。  

「自分たちに本当に必要な機械、機能は何かを考える。それ以外の機能は邪魔なんですよ。シンプル・イズ・ベスト。これがなぜか、みんな理解できない。(笑)デカくてフル装備で、たくさんスイッチがついてさえいれば農家が喜ぶものだから、メーカーはいたずらにそんな機械ばかりを作り出す。だからうまく使いこなせなくなってムダになる。悪循環です」

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