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特集

売ることから発想するこれからの農業
作れるだけでは半人前!!

「作った分だけ、野菜は全部買ってもらえるという、産直の甘えをなくそうと思った。うちはいまでは、自分から営業はしない。向こうから売ってくださいと頭を下げに来る、そんな商品を作るほうが先決だから。だいたい、流通側に主導権を握られたら、商品は育だないですよ」

 だから卸先はできるだけ分散させる。取引先を選ぶときには、相手が産地の事情を理解しているかとうかを重視する。さらには、自分かちの商品の末端価格を、スタッフが実地に調査し、それがもし不当に高ければ、バイヤーにその旨のクレームをつける。これは、対等な関係で商取引をする、という大原則に従って築きあげてきたノウハウだ。

 逆に、バイヤーからの文句に対抗できるように、品質管理は厳格に行なう。農薬使用量をできる限り抑え、根を強くして育てる農法を重視することが、巡り巡って消費者の利益になるのだと、組合員に意思統一を図りもした。

 産直を手がけて間もないころ、トマトを茨城県の生協に持ち込んだときである。「ハウスものは買わない」という旧態依然の価値観と衝突して大ゲンカ。説得するのに1年を要した。そんな、商品作りのポリシーを相手に納得させるのに苦労がつきまとうという事情は、現在でもさほど変わらない。

 たとえば前述のキュウリの場合、普通の5本入りパックのほうが、一度に多く売れるではないかと、コンビニエンスストアのバイヤーが言ってきたりする。 

「そんな古い考え方ではダメだと俺は言うんだが、なかなか通じない。核家族の時代に5本パックなんて、使い切れず、1~2本は腐らせてしまうでしょう?1本ずつ買えたほうがお客は喜ぶ。高島屋あたりのバイヤーになるど、さすがにその辺をちゃんと理解してますが……」

 自分たちの商品が時代のニーズに沿ったものだという点を、今後は何らかの形で、消費者に直接アピールしていくべきではないかと、宮田さんは考える。 

「情報発信ということに、農家はまるで無縁だったし、その重要性も認識してこなかった。自分たちの一番の弱点は、実はそこにあるんじゃないか……」 


【仕事は生産に携わる人を 農業の主人公にすること】

 昨年の数字で言うと、KEKグループは年商約12億円を売り上げている。施設園芸協同組合が7億円。協和園芸開発が5億円。協和園芸センターの直営農場が 3000万円。グループ外でも、日本協同企画が2億円の年商をあげている。中央選果場に隣接して建てた事務所は4年前に増設され、現在では10人の社員がデスクワークに精を出している。

 周囲の環境も変わった。昭和60年には協和町周辺の3つの農協が合併して1農協になり、平成5年からは周辺7市町村の広域合併農協になる。かつて『村八分』同然の扱いを受けた宮田さんが、いまではコンサルタント的存在として影響を及ばすようになった。そんな言われ方を、しかし彼はあまり心地よしとしない。 

「俺のしてきた仕事は、みんなを農業の ”主人公”にすること。ヒトの気持を整えるのにエネルギーを費やしてきた。けっこうまわり道はあったけれども」

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