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昆 なぜそれが佐藤さんにできて、農協にはできないのか。
佐藤 はっきりしています。我々は農家の圃場まで見て、契約を勧めるから。ところが農協は様々な制度の枠だけを全農経由で取ってきて、農家に「これやらないか」と聞いていく。そういうやり方では、例えば政府備蓄米を農家に30a任せたいとなった時、ある農家では「1筆が50aなので30aだけじゃ作れないよ」となる。それで他の農家を当たって無理にやらせる。我々はそうではない。生産者と圃場を決めて、作れる面積を集計し、できた数字を単純に積み上げる。それだけなんですよ。
昆 政策そのものが良いとは思わないが、その政策を運用するときに役人が考えたことが現場で反映されていないわけですね。
佐藤 いい例があります。新潟県はコメを原材料にする実需者の数が日本一なんですよ。03年にもち米が非常に不足しましたよね。それで、もち米を原材料とする業者が嘆いたわけですよ。それなのに、我々の近くの田んぼでは草が茫々で荒れているじゃないかと。なぜここでもち米を作ってくれないのかというので、新潟県で「品揃え枠」という制度が動いたわけです。要は「コシヒカリ」以外のコメについて県内の実需者と契約栽培すれば、主食用枠の配分を余計に上げるよと。これに我々もすかさず入りました。ものすごい量を扱わせてもらった。我々の行動に不満を持った農協は、作る場所を決めずに、県から枠だけを取ってきてしまった。それを現場に落とし込んで混乱させたわけです。
昆 制度を理解して運用すれば、場合によっては儲かるわけです。制度ではなく、基本的にはマーケットメカニズムに任せればいいわけなんです。それが基本的な自由主義社会の当たり前の原則と思うんだが、いかがでしょうか?
佐藤 そりゃそうですよ。買ってくれないものを作っても商売にならないし、継続できないですよね。生産から流通、消費がリンクしないと意味がない。行き先が分からないで作る現状があまりに多いんですね。
●ルール無視で市場をゆがめるコメ政策
熊野 昔は生産物の価格以上に助成金を出すことはしなかった。こんなことをするから捨て作りになるんです。一方で、国は用途外にコメを販売するのを禁止する法律を作ってる。それで流通を縛るわけですよ。こういうことをやっていれば、実需のみなさんも、生産者も死にますよ。即刻止めさせないと。
昆 なぜそんな法律を作っているんですか?
熊野 組織と権益を守ること以外に考えられないですね。
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