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旧日光街道のかつての宿場町としてにぎわった草加。江戸時代に誕生した草加せんべいは保存食として商店で売られ、東北に向かう旅人を支えてきた。弟子の曾良とともに草加宿に寄ったとされる、松尾芭蕉も楽しんだであろう庶民の味。伝統の灯がいま揺らいでいる。
検証02 コメの不足と値上がりはなぜ起きたのか?
2012年産米の作況は「やや良」の「102」。4年ぶりの豊作なのにいまだに高米価が続くのは、市場原理からすればありえない事態だ。通常、モノの供給が多ければ価格は下がるはずである。
裏で一体、どんなカラクリが働いているのだろうか。
●原因を震災だけで片付ける農水省
農水省が3月8日に公表した「米に関するマンスリーレポート」。2012年産米の相対取引価格(玄米)を見ると、昨年9月から最新データの今年1月まで1万6500円を超え、高止まりしている。これは値上がりが始まる11年産の同時期の価格を1500円近く上回る数字だ。レポートにある過去6年分と比べても相当に高い。
なぜ、これほどの高米価が起きているのか。農水省の生産局に説明を求めると、次のような答えが返ってきた。
「東日本大震災と原発事故による不安から、11年産の価格が上がった。それがいまだに尾を引いているからとみている」
まず、これは自己否定的な言い訳である。震災直後の混乱の中、農水省は3月16日に大臣メッセージで次のような発言をしていたからだ。
「米については需要量に十分に見合う生産量が確保されている上に、民間在庫にも十分な余裕があります」「政府は約100万tの備蓄米を保有しており、これをいつでも放出する用意があります。国内には、十分なお米があります」(農水省ホームページから抜粋)
実際にはこの後から、コメ不足は深刻になり始めた。原発事故による影響から、西日本にコメの買い入れが殺到したためだ。つまり、生産局の先の発言は、コメの需給を予測できず、その後も何ら手立てを打てていない自身の政策上のミスを無視したような言い分である。ただ、これ以上の大きな責任を農水省は負っている。
コメを主原料として扱う食品加工業界の関係者に、高米価が起きた要因を聞くと、真っ先に挙がるのは前政権の民主党が始めた農業者戸別所得補償制度だ。
同制度で農業者に支払われる交付金は、水田にコメを作付けした場合には10a当たり1万5000円。煎餅や味噌などの原料となる加工用米では2万円である。
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