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特集

これでいいのか!? 高米価と交付金


 安倍首相は近く、TPP交渉への参加を正式に表明するとみられている。TPPの交渉参加国が目指す妥結の時期は10月。14年度の予算要求の流れの中で、JAグループにとって価値ある高米価を維持する政策が継続されないかどうか。今後も注視しておく必要がある。


検証03 座談会 水田農業政策はどうあるべきなのか?

 生産から流通、加工と各業種に携わる人は今のような高米価をどうみているのか。全国稲作経営者会議の佐藤正志会長とコメ卸の千田みずほ(株)の千田法久社長、全国米菓工業組合の松本裕志専務に、各業界を長年に渡って取材してきた(株)米穀新聞社の熊野孝文記者を交えて座談会を開催。本誌・昆吉則編集長が現状の問題を踏まえながら、コメ政策のあるべき姿について聞いた。

●低価格米の争奪戦

昆吉則 高米価は食品加工業界だけでなく、農業経営者にとっても由々しき事態だと私は思っています。それでまず、各業界はどうなっているのか伺いたい。最も被害をこうむっている業界を代表して、松本さんから現状を教えてもらえませんか?

松本裕志 菓子業界の中で我々が扱う米菓の原料ではコメが一番高いですから、とにかく安いコメを求めてきたんです。網下、いわゆる特定米穀を有効に活用してきました。ただ、特定米穀は主食用米の減少とともに、どんどん減った。それで過去にはMA米も使ったんです。しかし08年の事故米の問題が発生し、再び国産に戻った。それで国産米の需給が逼迫し、段々と値段が上がりましたね。

昆 現段階で加工用米の総需要量はどの程度ですか?

松本 味噌や酒造などと合わせて100万tぐらいですか。このうち米菓業界では22万tを必要としています。

昆 全体の約2割ですね。

松本 そうですね。それで原料は特に東日本大震災の後に品不足になり、かなり価格が高くなった。精米価格で08年130円、09年年140円、10年以降は160円、12年は220円ですね。価格は上がるし、量は少ないという非常に困った状況なんです。デフレなので、値上がり分を製品価格に転嫁できないですし。

昆 千田さんは精米業者として今の状況をどうみていますか?

千田法久 価格についていえば、09年産は適正でした。それが10年産は大幅に下がった。11年産では震災の影響もありましたが、価格を戻したいという生産者の意図もあって、値上がりしましたね。これで12年産も相当高くしなければ集荷できないという雰囲気が広がり、2年続けて大幅に上がってきた。

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