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熊野 非常に分かりやすい例がある。いま13年産の政府備蓄米の入札をやってますよね。そこで付いた1万4100円という値段は何か。過去をみれば、この価格を基準にして相対価格が上がっている。加工用米も同じです。要は政策的に高米価を演出しているわけです。
昆 高米価は生産者にとっては嬉しいことでしょう。しかし、一方で「この状況はまずいよね」という意見もありますよね。
佐藤正志 私は新潟の岩舟という場所でコメを作ってて、ブランドイメージで捉えれば、割りに高い地域です。だから高い価格のコメがあっていいと思う。しかし、一方で安いコメも必要だよねと。12年産の仮渡金の状況をみると、新潟が比較的高く設定したため、これに全国も追随した。これはいけない。高止まりして消費量が減り続ければ、結果的に自分の首を絞めることになるわけですから。
昆 生産者は単価ばかり気にしていますが、大事なのは経営としての利益であるはず。それが新潟県では作付面積の7割以上が「コシヒカリ」。これでは一定の時期にしか収穫できず、刈り遅れれば品質は下がる。
佐藤 おっしゃる通りなんですよ。我々が投資している機械の利用効率を考えれば、一局集中したら機械の手当てを厚くしないといけない。自然とコストは上がる。代わりに品種をばらけさせ、作業時期を分散させることで、機械への投資を下げられる。私は3品種にしています。「コシヒカリ」の比率は5割を切りました。
●マーケットを無視する農業団体
熊野 全農にしても、コメを経済行為としてみていないですよね。
松本 その通り。普通の商売ならですね、値段を上げる前に相談があるものです。しかし、全農は一方的にコメの価格を上げるというやり方。これに対して我々は昨年3月でしたか、全農に抗議文を出しました。それまで一緒に日本の農業や水田を守りましょうと言っておきながら、おかしいではないかと。あなた方と付き合っていたら、いつ倒産するか分からない。これまでTPPに対して慎重な発言をしてきたけど、こんなことをするなら再検討やむなしと。
昆 セブン―イレブンは価格訴求ではなく価値訴求でやっていますよね。値ごろ感を出す時にやはり決めるのはお客さんであると。それが商売の原則であるわけです。そういう意味で言ったら全農の振る舞いというのは、自滅することを選んでいるのではないのかなと。日本のコメ農業をつぶそうとしているのではないかと感じるんですよ。
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