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日本でのトウモロコシ生産の可能性
昆 それからトウモロコシについてですが、日本が輸入する餌用のトウモロコシの実に9割が米国から来ています。米国にしてみれば、トウモロコシの総輸出量の3分の1ぐらいを日本に輸出している。バイオエタノールや石油の高騰といった問題が募る中で、米国でトウモロコシが不作となれば、日本への輸出に変化はあるのでしょうか?
スティーブ たとえ不作であっても、輸出能力が低下することはないと私は確信しています。私たちが重要に考えているのは、日本のマーケットに対して、常に安定した供給元であり続けること。これは我々の使命ですから。
昆 日本の食糧安全保障に関わることですからね。米国から餌を輸入することを反対する人もいるが、私は大事だと思っている。
スティーブ ありがとうございます。
昆 次に、ジャガイモについて伺わせてください。米国からのジャガイモの輸入量は相当量あります。これに対して競争できるネットワークを、日本のジャガイモの生産者は作らないといけないんだけれど、残念ながらできていない。
スティーブ 米国からは主に冷凍の加工用ジャガイモが輸出されていますね。
昆 もっと増やそうというご予定があるのではないかと思うんですが、どうですか?
スティーブ そうですね、生鮮のジャガイモを輸出できるよう日本の政府と話し合いをしている最中です。将来的に日本に輸出できるようにしたいですね。
昆 フローズンのフライドポテトはさらに成長するのではないかと思っているんですけど、そこについての戦略はないですか?
スティーブ 米国ポテト協会という団体が日本で唯一マーケティング活動を展開しています。その協会はフローズンからディハイ(乾燥)ポテトやマッシュポテト等の加工品に戦略をシフトしてきています。新しいチャンスをつかむのにいいことだと思っていますよ。
今後伸びる加工野菜への対応
スティーブ ATOの戦略の一つが果物と野菜の消費を増やすことです。残念なことに、日本ではどちらの消費量もここ最近は減っています。米国の果物や野菜の生産者団体や輸出振興機関が消費量を増やすためのプロモーションなどをしていますが、それは同時に日本のマーケットが膨らむのを助けています。
昆 野菜の加工業者に話しを聞くと、夏に群馬や長野のレタスと比べ、カリフォルニアなど米国から輸入されるレタスのほうがロスが少ないというんですよ。単に物流の技術だけではなく、栽培が腐りにくいやり方になっていると。これは日本農業にとって大変な問題だと思うんです。日本は肥料が過剰になって、糖尿病のような農地になっている。米国は肥料のやり方が適切なので、野菜自身が健康なんですよ。
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スティーブ・シュニッツラー
1984年に米国農務省海外農務局に入局。海外農務局の科学技術部植物課の課長を務め、植物防疫や食品安全関連での米国産農産物輸出に対する貿易障壁の撤廃に尽力。これ以前は、同科学技術部畜産動物課の課長を務め、BSEや鳥インフルエンザなど貿易の障壁となる事態の解決に取り組む。海外農務局のマーケティング分野で、米国の園芸作物業界のためのマーケティング支援制度を管理する仕事に携わった経験もある。1989年から1992年の3年間にシンガポールのATO副所長も務める。2010年夏から現職。
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