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スティーブ 米国では遺伝子組み換え作物の生産は徐々に拡大していきました。米国で受容された経緯として、米国食品医薬品局(FDA)が非常に慎重な姿勢で安全性審査や広報活動を行ったということがあります。国民の懸念に一つ一つ答え、信頼を丁寧に得ていったことが大きいんでしょう。そうしたFDAの努力によって、農薬を減らせるなど遺伝子組み換え作物の利益が浸透していったのでしょうね。
昆 遺伝子組み換え作物のマーケティングで、対EUと対日本とでは違いはありますか?
スティーブ いえ、遺伝子組み換えと既存の食品の違いは特にありません。いずれにしても安全で品質がいいということで、輸出を促進しています。日本でいえば、一年半前に大きな成果がありましたね。ハワイで栽培されている遺伝子組み換えのパパイヤが認可されました。
狙う市場は機能性食品と便利さ
昆 最後にスティーブさんが日本のマーケット、農業界についてどういうご感想をお持ちであるのか伺えますか。
スティーブ 日本は人口が減少し高齢化が進みますが、そこにもチャンスはあると思います。注目しているのは機能性食品ですね。高齢化社会で伸びるのではないかと。米国の輸出業者向けには、機能性食品を登録するにはどうすればいいのかという報告書を出しています。ほかには、便利さと惣菜にもビジネスチャンスがあると受け止めていますね。日本に来ていつも関心するのは、コンビニやスーパーの惣菜売り場です。いつ行っても、多くの惣菜が並んでいます。まさにコンビニエンスストアだと。米国には、日本ほど便利なシステムはない。米国のセブンイレブンは日本の形態とは違いますから。東日本大震災でもコンビニはすぐにサービスを再開させました。あれには本当に関心しましたよ。
昆 そうですか。今日はありがとうございました。(まとめ 窪田新之助)
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スティーブ・シュニッツラー
1984年に米国農務省海外農務局に入局。海外農務局の科学技術部植物課の課長を務め、植物防疫や食品安全関連での米国産農産物輸出に対する貿易障壁の撤廃に尽力。これ以前は、同科学技術部畜産動物課の課長を務め、BSEや鳥インフルエンザなど貿易の障壁となる事態の解決に取り組む。海外農務局のマーケティング分野で、米国の園芸作物業界のためのマーケティング支援制度を管理する仕事に携わった経験もある。1989年から1992年の3年間にシンガポールのATO副所長も務める。2010年夏から現職。
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