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海外レポート

イタリアの稲作を見て日本の農業経営者へ伝えたいこと 前編 稲作をする環境の違い

  • (独)農研機構 中央農業総合研究センター 北陸研究センター 水田利用研究領域 主任研究員 笹原和哉
  • 第1回 2013年03月15日

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 ちなみに日本では12年の稲の作付面積は158万haで、耕地面積の約1/3を占めています。ですから、日本よりかなり稲の作付面積が少ないのですが、北陸4県分(新潟、富山、石川、福井)、あるいは九州全体の水稲作付面積を上回っている状態ですから、少なくはない量が生産されていると実感できると思います。イタリアはヨーロッパ最大のコメ生産国で、その半分以上がEU内に輸出されています。

 イタリアでは農地改革がなかったために、経営面積だけではなく、一筆あたりの大きさも、拡大しやすくなっています。この30年間にレーザーレベラが各経営体に定着し、圃場も拡大されていきました。データはないのですが、イタリアでは50年前には1筆あたり20a前後だったようです。現在は1筆2haがスタンダードになる状態に農業経営者が拡大してきました。これからもますます拡大していきそうです。

 なお、水田同士を合わせなくても、前回紹介したように、ある程度畦を超えて連続して作業を行なうことができます。これらは日本の大規模経営では規模拡大しても、虫食い状になりやすいため、なかなかできることではありません。今すぐはできなくても、日本の経営も現状の大規模経営同士が換地して、大きな圃場を持てるようになれば、イタリアのような低コスト化が進められると考えられます。

 このような一筆面積の拡大はとても平らな土地でなければ無理ではないかと思われる読者もおられるでしょう。そもそもイタリアでは水田地帯に接していても、小高い丘の上には、稲作はありません。トウモロコシ、ワイン用のブドウ、オリーブなどが生産されています。自家用米をつくる発想がないため、棚田を造ることもないのです。

 イタリアの稲作の経営面積は昔からすべてが大きかったわけではありません。平均経営面積はここ30年間に20haから50haへと拡大しています(表1)。これはあくまで平均的なクラスであり、この規模が適正とは言えないでしょう。作付面積も増加している一方で、半数以上の農業経営は淘汰されたことも分かるかと思います。現地のある経営者は「30ha未満の農場には、明るい未来は見えないだろう」と指摘していました。

 大規模経営と感じられる経営は200haを超えています。私が調査した、大規模かつ地域のリーダー的な経営は250haクラスでした。一人はコムーネ長、もう一人は水利組合の代表でした。このクラスでは経営も安定しているようです。直接面会した最大の農業経営は、800haでした。また転作がないので、そのほとんどがそのまま稲の作付面積になります。

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