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海外レポート

イタリアの稲作を見て日本の農業経営者へ伝えたいこと 前編 稲作をする環境の違い

  • (独)農研機構 中央農業総合研究センター 北陸研究センター 水田利用研究領域 主任研究員 笹原和哉
  • 第1回 2013年03月15日

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食文化におけるコメの位置づけ

 イタリアの食文化は日本では大変人気があり、かなり詳細に知られています。コメについて最近の状況をお知らせします。イタリアでは日本と同様に粒で食べます。粒食として一般家庭でも、レストランでも多く食べられているのがリゾットです。コメの芯が残った食感を楽しむリゾットという米料理があることも、他のイタリア料理とともに徐々に日本に知られてきました。現在、日本では新たな用途のコメの開発が期待されていますが、リゾット用途のコメも開発が必要だと思われます。

 イタリアでは13~14世紀から稲作が始まっています。イタリア料理研究家の長本和子氏は、現在のコメの産地にはコメの栽培が始まる以前から、既に小麦の一種を用いた粒食があったことを指摘されています。イタリアの昼食はコース料理が多いのですが、前菜の次の皿を、「プリモピアット」と呼び、肉か魚料理の前に出されます。プリモピアットは穀物主体の料理であり、パスタやリゾットが食べられています。スーパーマーケットには非常に多種類のパスタが販売され、その中に米粉を麺にしたスパゲッティ(図2・右)があります。また、パスタの一種としてデュラム麦を米粒の形に加工したもの(図2・左)もあります。つまり、イタリアではコメとパスタ用の麦とは相互に代替性を持っていること、粒食の文化があるということが特徴に挙げられます。

 一方、私が滞在したピエモンテ州では、小さな町でも寿司を売っているところを見かけます。ただし、中華レストランのメニューだったりします。炊かれたコメを食べることが一つの外国料理のジャンルとして括られているようです。

 一部の農業経営体は白米を農場で直接販売しています。コメの品種がイタリアには200近くあると聞いたことがありますが、私は現地滞在中に自炊したところ、明らかにイタリアの品種なのですが、冷めた後も日本人にとって味も香りも違和感のないご飯となる品種が複数ありました。私が最も気に入ったイタリア米品種、ローザ・マルケッティ(ROSA MARCHETTI)は1.3ユーロ(約143円)/kgで農場にて直接販売されていました。コシヒカリの新米を持って行って、現地に住む日本人に名前を言わずに試食してもらったのですが、区別がつきません。読者の皆様にとっては、脅威となるかもしれません。

 イタリア語ではコメも稲もRISO、水田をRISAIAと呼びます。日本語のように用語が変わりません。このことは、文化的に主要ではない穀物だということを意味します。メインは小麦です。しかし、コメの食べ方にはイタリア人ならではのこだわりがあるようです。現地の方のコメへのイメージを私なりに解釈すると、日本の食生活におけるソバのような、ナンバーワンではないが、イタリアの味としてこだわりのある存在です。

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