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日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識

繊維用と種子用の栽培方法の違い

本連載では、大麻草を研究テーマに掲げて博士号を取得した赤星栄志氏が、科学的な視点でこの植物の正しい知識を解説し、国内での栽培、関連産業の可能性を伝える。麻農業のノウハウにあたる栽培方法が今回のテーマ。用途の違いによって繊維用と種子用と播種条件、収穫する時期が違うことがポイントになる。

 大麻草(以下、麻とする)には、雄株と雌株が存在する。イチョウやホウレンソウのように植物全体で雌雄異株は6%ほどしかないと言われている。草丈は緯度や品種によって異なるが1~4m、葉は掌状で5~11裂と必ず奇数になる。多くは雌雄異株であるが、なかには雄雌同株の品種もある。雌雄異株の場合、雄花は5枚の萼片(ガクヘン)と5個の雄しべをもち、開花が終わると雄株はまもなく枯死する。雌花は枝の先端部にあり、花弁がなく1個の萼と2本の柱頭を持ち、柱頭を萼の外に出して受粉して種子をつくる。

 種子は短卵形で、灰緑色または褐色の紋様がある。1粒の長さ4~5mm、幅3~4mm、厚さ2.5~3.5mm、種子1リットルの重さは560gで、約2万2000粒に相当する。


気候と土壌条件

 麻は、冷帯、温帯、熱帯と幅広い気候条件に適応する。日本で高品質の繊維を収穫するには、収穫時期の7月下旬に晴天が続き、背丈が高くて茎が折れやすいので風当たりの少ない場所が適している。また、痩せた土地から肥沃な土地までどこででも栽培可能。高品質の繊維の生産を目的とする場合は、排水のよい砂礫の土壌の土地が適している。粘土質の土壌では排水が不良で、生育が振わず、砂土では干害を受けやすく、ともに不適である。


播種

 播種時期は地方によって多少の差がある。栃木県では3月下旬から4月上旬に行ない、寒い地方では4月下旬から5月上旬となる。図表2のように時期が異なるが、日本全国で基準となる目安は、ちょうど山桜が咲いた後が良いとされている。

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