記事閲覧
【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
繊維用と種子用の栽培方法の違い
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第4回 2013年03月15日
- この記事をPDFで読む
雌雄異株の場合、繊維をとる目的ではかなりの密植栽培をする。繊維をとるためには、条播で畝間20~30cm、株間3~6cm前後、1平方メートル当たり180~200粒(10a当たり4.5kg)を播種する。
一方で、種子をとるためには、条播で畝間90cm、株間30~75cm、1平方メートル当たり40~80粒(10a当たり1~2kg)を播種する。雌雄同株の場合は、雌雄異株の繊維をとる目的と同じ播種条件、もしくは若干密植を薄くしての栽培となる。いずれの場合も直播で行なう。
管理
播種後6~10日で発芽し、種子や発芽直後の双葉は小鳥が好んでついばむため、日本では小鳥対策として寒冷紗という網を畑にかぶせているが、海外では広大な面積なので、そのような対策は一切とっていない。間引きは発芽状況や栽培の目的によって異なるが、高品質の繊維をとる場合には、背丈が6~7cmのときに密植した箇所を間引き、背丈15~16cmになったころに生育不良や伸びすぎのものを、株間9cmになるように間引く。 風や虫による被害茎が発生したら、そのつど除去する。栃木県の場合は、間引き時にカツサビという小型の中耕具を使用して、畦間の土を反転させながら、両側に軽く土寄せし、除草を兼ねて実施している。
収穫時期
繊維用の麻は、110日前後で収穫となる。写真1のように密植した状態で茎が上へ伸びており、上側のみに枝と葉があり、下側には地面まで枝や葉が生長過程ですべて落下する。繊維用の麻では、雄株か雌株か明確に区別できないうちに収穫をする。
一方、種子用の麻は、8月に雄株が開花し、雌株がその花粉を受けて結実し、種子が登熟するまでの期間があるため、収穫は10月下旬まで待つことになる。雄株と雌株は1対1の割合で出てくるが、種子を付けるには10a当たり5~6本残しておくだけで十分なので、雄株を先に間引きする。種子用の麻は、生長すると茎の直径が3~6cmと太くなり、全体的に写真2のようにクリスマスツリー状に横枝が大きく茂り、その枝先に花穂ができ、種子がたくさん実る。1本の茎からは600~750gの種子が採れ、文献によると10a当たり70kg(品種や栽培条件によって異なる)である。海外の種子用に開発された収量の良い品種では150kgを超える。
会員の方はここからログイン

赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
