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蒸しアワビを美味しく蒸すコツ

京都府は2月15日、和食を総合的に学ぶ「高等教育機関」の設置に向けた懇談会を開いた。そもそも、2011年6月にユネスコ無形文化遺産に「和食」の登録を要請しようとしたところ、その登録のためには保護や継承について適切な措置を講じる必要があると言われたことが発端になっているらしい。


58℃で30分

 昔の板長と弟子のように「仕事は教えてもらうのではなく目で見て盗む」というやり方では継承のための適切なシステムとは言えないという判断になったのだろうか。懇談会は、京都府、京都府立大学、食品会社、日本料理アカデミーなどで構成され、今後、大学院とするか、独立の機関とするかなどの運営方針や組織形態の内容を決めるという。京都市では、日本料理を学ぶために来日する外国人が料亭で働けるようビザの要件緩和を国に求める。日本食ブームが定着した昨今、外部から見てもっと開かれた環境を作る取り組みが始まろうとしている。

 一連の取り組みで重要なのは、科学的なアプローチだ。京都では40~50代の料理人が京都大学教授と連携し、これまで経験や勘に頼っていた技を誰もが使える数値データに置き換えようと試みている。例えば、研究室で実験を重ねた結果、蒸しアワビは、58℃で30分加熱すれば誰が作っても風味が増し、歯応えを保てることが分かったそうだ。料理人は、「高度な技術は肌で感じてもらうしかないが、分かりやすく新しい調理法を伝えることは若い世代の意欲を高めることにつながる」と考え、大学院生として京都大学で研究する予定だ。

 しかし、高度な技術を一部でも定量的なデータで置き換えようと努力することは、若い人、未熟な人のためにあるだけではなく、むしろ、個性的で高度な技術を持った職人の新たな気づきや業界全体の市場創造のためにも重要なことだと思う。

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