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シリーズ TPP特集

本誌1・25TPPセミナーより 暴かれたおばけの正体(下)


 地球温暖化の対策を巡る京都議定書では、米国はいったん署名をしたものの、最終的には離脱した。こうした過去の事例からしても、いつでもTPP交渉に参加しても抜けられるといえるだろう。

 TPP交渉参加に反対する理由として、日本の交渉力を疑問視する声がある。交渉力がないから、有利に事態を運べない。だから参加しても仕方ないというのだ。「おばけ9」を読まれた方は、こうした反対派や慎重派の主張がおかしいと感じられるだろう。

 もう一つ知って欲しいのは、日本が取り交わしてきた過去のEPAの関税撤廃率。現在、日本のEPAの締結数は13。左の表を見れば、日本がEPAの相手国より自由化率をより多く引き出しているのが分かるはずだ。これでも反対派が言うように、日本に交渉力がないということになるのだろうか。


 アジア・太平洋に門戸が開かれているTPP。慶応大の渡邊教授は、中国が参加する可能性は十分にあるとみている。

 というのも渡辺教授は2012年4月、山東省の省政府から呼ばれ、TPPについて4つの想定を基に話をしてきた。(1)中国と日本の両国が入る(2)日本だけが入る(3)中国だけが入る(4)どちらも入らない――というもの。これらについて政府関係者はすでに研究していたという。いつでも入れる準備をしているわけだ。

 それに中国にとって、開放的な米国は魅力的なマーケット。マレーシアやベトナム、タイとの競争の中で、米国への輸出で自国だけが関税の洗礼を受けなくてはいけないのは、中国にとっては受け入れがたいこと。「山東省の省関係者の中には、日本より本当は早く入るべきという人もいたぐらいだった」(渡邊教授)。

 こうしたことから、中国が参加しないというのは当たらない。

 これこそ事実無根といえる。単純労働者の移動がTPPの議論の俎上に載せられたことはないからだ。これは、過去に交渉された世界中のFTAでも同様である。また、看護師や介護福祉士の受け入れが進むという意見もある。この点についてもTPPで交渉されているという情報は一切ない。

 もし反対派の主張通り、米政府が単純労働者の受け入れや労働水準の引き下げを狙っているならば、米国も同じ義務を負わなければいけない。多国間協定の双務性と相互主義のルールがあるからだ。そうなれば米国の雇用にも影響してくる。雇用人口の拡大を公約に掲げるオバマ大統領が、そうした形で民主党の支持母体の労働組合を裏切ることは極めて考えがたい。

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