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土門「辛」聞

国民に目隠しをした通商交渉で国益を損ねた韓国の轍を踏むな

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉へ参加することが決まった。思い浮かんだのは、大好きなちあきなおみの「喝采」だ。「止めるあなた駅に残し、動き始めた汽車に一人飛び乗った」ご存知かと思うが、米国が主導権を握ったTPP協定交渉は、2010年3月に第1回交渉を開いて以降、交渉参加国によって昨年12月で15回の会合が重ねられてきた。

 外務省のホームページには、交渉ごとに簡単な報告書が掲載されているが、協議の対象となったテーマが取り上げられているだけで、協議内容については、交渉に参加しても国民に正しく説明されることはない。しかも交渉参加国に厳しい守秘義務が付けられている。あたかも企業のM&A(合併と買収)交渉のようである。これについては11月28日付け日本共産党機関紙『赤旗』が、「交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることが、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かりました」と明らかにしている。

 直近の会合から農業に関連した市場アクセス分野に絞って協議の状況を整理してみた。


【第15回会合=12年12月】

▽貿易の技術的障壁、電気通信サービス、税関手続、衛生植物検疫といったより技術的な分野では、交渉担当者は問題を解決すべく、また、残された問題については妥結への明確な道筋を策定すべく取り組み、次回交渉会合までの間も作業を行なうことに合意した。

▽市場アクセスについても、首脳及び閣僚が設定した野心の水準を満たし、かつ全ての参加国が受入れ可能な全体的なパッケージの策定に向けて議論を継続し、作業の前進をみた。交渉担当者は、鉱工業品、農業、繊維に関する関税パッケージ及び原産地規則の策定に関する作業を継続した。また、各国のサービス、投資、政府調達の市場を開放するコミットメントに関しても議論を行なった。次回交渉会合で更なる進展が得られるように、交渉会合間の作業に関する予定表を策定した。

【第14回会合=12年9月】

▽市場アクセス、税関、原産地規則、貿易の技術的障害、衛生植物検疫、越境サービス、電気通信サービス、政府調達等を含む幅広い分野で進展があった。

▽鉱工業品、農業、繊維、サービスと投資、及び政府調達に関し、各国が作成している関税及び他の市場開放に関する特定の約束の策定も引き続き前進した。

 外務省資料による前2回会合の報告を読む限り、「進展」や「前進」という文言が使われている。同じような文言は、その1年前の第9回会合=11年10月の報告書にも見受けられた。ところが、いずれの報告書にも、何が、どう進展、前進したかについては何の記述もない。まるで行き先の分からないミステリー・トレインが走り続けているような印象を受ける。

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