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特集

創刊20年 今こそ問う! 水田農業イノベーションと農村経営者


 現在、北海道の試験場や酪農家の間でも、トウモロコシを出来るだけ圃場で乾燥させて、実の部分だけを収穫したイヤコーンをサイレージ化する技術が検討されている。トウモロコシは水分を要求する。乾田化できれば転換畑に向く作物なのだ。しかも、関東以南であれば二期作もできる。乾田直播や大豆を不耕起ドリルでやっているような農家なら、新たな機械投資も必要ない。

 子実コーンを水田で生産した場合の国際競争力を考えてみよう。

 圧偏したトウモロコシは、米国の干ばつ被害のために昨年暮れから値上がりしている。工場渡しの価格でkg当たり45円~50円程度。畜産や酪農をする複数の読者に聞いてみたところ、生産者段階では60円前後だという。

 ただし、この価格は円安を反映する以前のもの。円安によって、さらに価格が上がるということだ。しかも、米国はシェールオイルによる経済効果が出てくることからドル高の傾向に進むことが予想され、円安は定着するだろう。

 さらに輸入トウモロコシは、物流費と品質劣化を防ぐため、水分が13%程度で輸入される。しかし、家畜、とりわけ乳牛や肉牛のルーメン(胃)でのトウモロコシのデンプン吸収率が、乾燥したトウモロコシより高水分の材料を使うほうが約30%も向上する。一旦乾燥してしまったコーンは水を加えても元に戻るわけではない。

 府県の多くの水田経営者は大豆やソバの収穫に汎用タイプを所有している。海外製との能率の差はあるだろうが、メーカーや研究機関が本気で取り組めば、日本の技術者ならきっと満足のいく性能に仕上げるだろう。

 それに府県では水稲は自脱、大豆などには汎用という使い分けをしている人がほとんど。その理由は、「スピードが遅い」とか「倒伏時にロスが出る」などである。しかし、それも高米価に守られた経営者の甘えではないだろうか。北海道の経営者では水稲にも汎用を使うケースは少なくない。今後、さらに規模が増えていった場合、自脱型とともに汎用型のコンバインの利用を広げていく必要がある。試験場データでは、汎用型のでも水稲収穫時のロス率は3%以下だという。0.1%以下という自脱型の精度と比べれば見劣りするかもしれないが、その差は、水田経営の利益率全体を考えればむしろ使う方が得になると思う。機械の台数が増えることで刈遅れによる品質低下も避けられる。水稲での品種の分散とともに、大豆や麦だけでなくトウモロコシまでその用途を広げることができれば、農業経営のコストダウンにつながるはずだ。

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