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特集

創刊20年 今こそ問う! 水田農業イノベーションと農村経営者


 この件について本誌は今年、読者とともに経営実験に取り組む。


【 中山間地を宝の山にする「農村経営者」】

 コメあるいは水田経営の可能性の大きさについて述べたが、「それでは中山間地はどうする?」という言葉が返ってきそうだ。先月号及び今月号の農業経営者ルポ。そして、今月号の座談会でもまさに「農村経営者」を実践する人々に語っていただいており、そのヒントが示されている。

 現代という時代であればこそ農業・農村には大いなる産業的可能性が存在する。とりわけ農業生産条件にハンデを持つと言われる中山間地のような地域こそ農産物生産にとどまらず、地域の緑なす風土、歴史、文化、人々が守ってきた営みの全てを経営資源として活かし、時代やマーケットが求める事業に育て上げようとする農村経営者という存在が必要とされる。どのような政策的支援があろうとも、行政リーダーではなく経営者としてその事業を創造する農村経営者がいなければその可能性は現実にならない。

 そこでは、農地という生産手段だけでなく、里山から沢筋や今や打ち捨てられているかもしれない地域に残る歴史資産、そしてなにより古い時代を知る高齢者を含む地域の人々の全てが経営資源足りえる。

 現代の過剰の病理が、田舎暮らしへの憧れや家庭菜園ブームを引き起こしている。高い給料をもらう人がノイローゼで休む、ニートの青年たち、田舎を持たぬ都会の子供たち。さらには、中国の都市部だけでなく農村部の人々にとっても我が国の緑なす農村の風土は憧れの対象になるだろう。企業と組んだ開発でも、健保組合と組んで体験農園を経営しているという例などもある。

 これまで農家や農村に住むものだけの特権として与えられてきたものを、すべての人に喜ばれる形で提供できる仕組みを作り、それを経営する才覚のある農村経営者がいれば、中山間地は、平場の農業を圧倒するほどの収益力を持つ地域に変わりえる。その意味で、中山間地は宝の山なのである。


座談会 農村経営者

農産物の生産にとどまらず、地域の緑なす風土、歴史、文化、人々が守ってきた営みの全てを経営資源として活かし、時代やマーケットが求める事業に育て上げようとする者。彼らのことを「農村経営者」と呼びたい。中山間地でまさにそうした存在として周囲からの期待を背負い、仲間とともにさまざまな仕掛けをする長野県の紫芝勉氏と京都府の清水流美氏が、本誌編集長の昆吉則と岐阜県大垣市上石津町を訪ねた。二人と同じような環境にあって、個人で営農することの限界を感じ始めた同地の高木正美氏と、農村経営者の可能性について話し合うためだ。過疎化が進む同町には空き家が多い。耕作放棄地は散見され、残された農地はどこでも獣害を防ぐために柵を張り巡らしてある。そうした厳しい現状の中にも、農村を変えうる宝は埋まっている。高木氏の案内で町中を視察した後、座談会に臨んだ。

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