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特集

創刊20年 今こそ問う! 水田農業イノベーションと農村経営者



【関係性を求める人々に応える】

昆 農業体験にはどんな方が来るんですか?

紫芝 田舎を持っていない人ばかりですね。彼らは農業体験もしたいが、実は田舎を求めている。そことの関係性、ふれあいなんですよ。ただ田舎を見て回るだけでなく、そこに足を下ろし、会話をして楽しむ。
それは飯島町出身でありながら、都会で暮らす人たちにも同じことが言えるはずなんです。都会で暮らしている人たちは田舎に帰りたい。むしろ開拓する顧客は、不特定多数のお客さんよりも、飯島町から出た人たちなんです。何らかの関係があるんですから。その方がターゲットポイントが定まるんですね。だから、彼らが田舎に帰る機会を与えるために、何でも楽しいことを用意すればいいんですよ。


清水 そうですよね。

昆 うちの読者にはコメを宅配している人たちがいます。でも、おいしいコメはスーパーに売ってるじゃないですか。宅配すれば高くつく。それなのに、なぜお客さんが買うかといえば、紫芝さんがおっしゃたように関係性を求めてるんですよね。だから、読者はコメを送るときにお客さんに手紙を書くわけです。

紫芝 うちに面白いお客さんがいるんですよ。田切農産は農産物直売所もやってるんですが、その裏は僕の自宅で、オヤジとオフクロが直売所に出す野菜を作ってる。そのお客さんがね、知らない間に両親と友達になってて、直売所へ寄る前に挨拶に来るの。それでオヤジとオフクロも「よく来たね」なんて家に上げて、野菜をあげちゃうんだよ。「待て待て、それは売り物だろう」と(笑)。でも、そういう人はまた買いに来てくれるんだよね。

昆 面白い話ですね(笑)。だから、小売業じゃないということですよ。

高木 顔を見に来るいうのも一つのサービスなんですね。

【地域との付き合い】

高木 清水さんは新規就農ということで行かれたんですよね。

清水 そうですね。住んでいる京都市から農場がある福知山市までは、車で一時間から一時間半。私の父でみわ・ダッシュ村の社長が農業をやりたいとなって、色々な場所を見た結果、福知山市三和町にはいい農地があると聞いたんです。そこは耕作放棄地やった。でも見方を変えたら、たくさんの遊びができるんや、と考えたみたいで。土日に行って、木を切ることから始めたんですね。

高木 地域の人との付き合いは大変だったんじゃないですか?

清水 もともと、私たちはよそ者じゃないですか。私が関わったのは法人化してからですが、耕作放棄地を開墾しているのはもっと前からで、父がNPO法人の活動としてやっていた。地域の人たちと仲良くなるのはすごく大きなポイントなので、父はすごく通ってましたね。それこそ年間の3分の1は三和町に泊まってました。いろんな会合に出席して、信頼関係を築いたんでしょうね。

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