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【編集長インタビュー】
国産の飼料用トウモロコシを作ろう
- パイオニアエコサイエンス(株) 代表 竹下達夫
- 第98回 2013年04月12日
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トウモロコシの輸入価格は円安の影響でさらに上昇!?
昆吉則(本誌編集長) 飼料用トウモロコシの国内生産について、昨年開催したA―1グランプリに応募された柳原孝二さんの話を聞いたとき、これはチャンスだと感じました。今の農政や時勢を考えても、子実トウモロコシ(以下、トウモロコシ)の国内生産は大きな可能性を持っていると思います。府県の水田から北海道まで、穀物としてトウモロコシ栽培の普及に尽力されてきた経験を踏まえて、お話をお聞かせください。
竹下達夫(パイオニア ハイブレッド ジャパン(株)代表取締役) トウモロコシは家畜の餌としては一番です。水田での栽培にも向いていて、タイやインド、ベトナムなどコメの生産国では、自給できるくらいのトウモロコシは作っています。日本の乳製品や畜産物の消費を考えると、どんなに作っても国内で供給過剰になるということはあり得ません。どんどん生産すればいいんですよ。
昆 日本でも1960年代にはトウモロコシの生産量が約11万tありました。数年で激減して、それから50年くらいはほとんどゼロの状態です。ほぼ輸入に頼っているのが現状ですね。100頭くらいの規模の畜産をしている読者に聞いたところ、昨年20~30円/kgだったトウモロコシの価格が、今年は60円/kgくらいに上がっているそうです。これはアメリカの干ばつを反映した値上がりで、今の円安を加味するとこれからまだまだ上がるとか……。
竹下 シェールガスの影響も出てくるでしょう。シェールガスを掘ると、将来的にはアメリカの農地がかなり制限を受けるでしょうし、ガス採掘の労働者が集まって、全体的に生活水準が上がって、畜産物の消費も増えるでしょう。小麦も大豆も、トウモロコシも価格が上がると思います。
昆 そんなアメリカのトウモロコシ輸出量の1/3が日本向けというのがまさに異常なことでしょう。
竹下 そうですね。アメリカにはそこまで供給力がないですから、中国も価格の安い南米に供給先を切り替えています。東南アジアでもトウモロコシの栽培が猛烈に進んでいますから、コメだけあれば人間が生きていけるという概念を考えていると抜かれてしまいますね。
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竹下達夫 タケシタタツオ
パイオニアエコサイエンス(株)
代表
1947年生まれ。1969年一橋大学卒業後、三菱商事㈱勤務。80年イースタンハイブレッド㈱代表取締役社長就任。84年世界的な種苗会社パイオニア・ハイブレッド・インターナショナル社の日本法人パイオニア・ハイブレッド・ジャパン㈱代表取締役社長就任。2000年パイオニア・ハイブレッド・ジャパンの社内ベンチャーを分離・独立し、パイオニアエコサイエンス㈱設立。現在、代表取締役社長を兼務。
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