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【海外レポート】
イタリアの稲作を見て日本の農業経営者へ伝えたいこと 後編 稲作をする環境の違い
- (独)農研機構 中央農業総合研究センター 北陸研究センター 水田利用研究領域 主任研究員 笹原和哉
- 第2回 2013年04月12日
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今回は、北イタリアの現地では、具体的にどう稲作の作業が行なわれているのかについて紹介します。
まずは、イタリアの農学者で、240ha規模の水田農業経営者だったG.SARASSO(サラッソ先生)が作られた図1のイタリアの稲作栽培暦をご覧ください。
耕起
現地の緯度は北海道と同じで、気候は東北地方に近い状況です。雪も降りますが、日本の雪国に比べれば営農の大きな障害にならないようです。3月から作業が可能になり、プラウ耕(図2・1~2時間/1ha)に始まって、ハロー(1時間/1ha)、必要に応じてレーザーレベラー(図3)をかけます。この間に基肥を散布します。レーザーレベラーは均すだけではなく、特に2つの圃場の畦を取り払い1枚に拡大する際に威力を発揮しています。
現地は大変平坦な地域です。また、農地改革のなかったイタリアでは、地主が日本のように細かく分散していません。したがって、圃場を拡大することが日本よりもかなり容易になっています。レーザーレベラーの力でどこまで拡大できるのかというと、見た限りでは1筆10haが最大でした。それ以上大きいと今度は入水、落水に時間がかかり過ぎるようになるそうです。一般的な圃場は平均2haです。
イタリアには日本では主要な作業である「代かき」がありません。では、どのように代替するのでしょうか。代かきの目的は、主に3点あります。
(1)田面を均平にし、高低差をなくす
(2)柔らかく固める
(3)漏水をなくす
(1)については、100馬力以上のトラクタとレーザーレベラーが普及しており、広い圃場を作りやすい状況にあるので、代かきを不要にしています。(2)については、後述しますが、品種の特性と水管理によって克服しています。
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笹原和哉 ササハラカズヤ
(独)農研機構 中央農業総合研究センター 北陸研究センター
水田利用研究領域 主任研究員
1969年大阪府生まれ。1992年東北大学農学部卒。1993年より九州農業試験場(後に(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター)勤務。1997~2009年 湛水点播(ショットガン)直播、暖地型稲麦大豆輪作体系の開発において経営評価を担当。2010年より(独)農研機構 中央農業総合研究センター 北陸研究センター勤務。現在、水稲超多収栽培、開発技術評価のプロジェクトに参加。農学博士。
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