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【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
繊維を分離する一次加工の方法(1)
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第5回 2013年04月12日
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麻繊維を取り出すには、不要なペクチン、リグニン、未成熟な繊維を除くこと、つまり「脱ガム」が必要となる。脱ガムにおいて、カルシウムによるペクチンの分子間の架橋結合を外すことが重要なポイントとなる。麻のペクチン含有量は、図表2では少ないが、靭皮部に18%、木質部に4%という報告もあり、実験条件によってバラツキが大きい成分である。ペクチンの架橋結合を外すために、レッティング(retting)と呼ばれる工程が行なわれる。
長年、多くの地域で採用されている方法には、雨露法、温水法、冷水法、池浸水法、堆積発酵法、生茎晒し法などの微生物利用法がある。これらの方法には脱ガム効果の差によって、その後の加工工程への影響、強度の違い、加工時間の長さ、コストの高さ、水質汚染を引き起こす可能性などに違いが生じる。
事例紹介(1)栃木県の堆積醗酵法
今回は、日本一の生産を誇る栃木県で現在でも実施されている堆積醗酵法について紹介する。
麻茎をに積んで藁こもで被い、微生物の醗酵を利用して繊維分離をしやすくする方法である。
(1) 麻抜き(収穫)
4月上旬に播種した麻の茎は、約100日経過した7月中旬頃から株元がやや黄ばんできて収穫できる。収穫はほとんどが手作業で、5~6 本束ねて抜き取って、積み重ねていく。生育のやや小さい麻は、バインダーを改良した収穫機でも刈り取れる。その後の湯かけ、麻干しの作業が行なえる分量だけ収穫する。
(2) 麻切り
麻を抜き取った後、麻の株元を切りそろえ、独特の直刀の形をした麻切り包丁で葉を落とし(葉打ち)、直径40cm程度の束にまるめて、さらに先端を切りそろえる。かつては押し切りなどを使っていたが、最近では肩掛けの草刈り機を用いる。長さは2m程度(6尺5寸)にそろえるが、麻の生育量に応じて仕分けする。
(3) 湯かけ
麻切りした生麻を熱湯に入れて色を落とす。湯かけは麻切りした午後3時頃から夜にかけて行なう。身長ほどの麻風呂(鉄砲桶)に鉄砲釜を据え付け、松や杉を燃やし、湯を沸騰させその中に生麻の束を3分程度浸けると、その後の麻干し中に緑色が抜ける。浸す時間が短いと青みが残る。麻風呂は、以前は木製だったが、現在は鉄製に替わっている。
(4) 麻干し
湯かけした麻は翌日の朝から天日で、地面に着かない様に丸太や竹を敷いた上に干す。裏返しながら3~4日で干し上げると白い麻茎ができる。この時期の天候によって乾燥具合や品質が影響されるので、最近は雨よけのビニールハウスの中で干している。干し上がった麻茎は納屋の2階など湿気のないところに、次の麻ひき作業まで保存しておく。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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