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スイカ 夏版の量販気に一気に売る商品 二番果充実で海外産に歯止めを
【概況】
スイカは冬場に熊本から沖縄と始まり、5月から急増して7、8月がピークとなる由緒正しい夏果物だが、かつての前進化は4月まででとどまり、残暑の厳しい年には9月にも需要は強く、季節感を打ち出した商品として定着した。周年入荷しているがオフシーズンは業務用が主体で、一般消費には拡大していない。小売店においても、スイカだけは前進化販売を追うことをせず、夏場のメイン商材にしておこうという意図が強い。そのため、過去数年の推移から見ると、冬場からスタートする熊本、沖縄産、周年ある高知産には増産意欲が見られたが、それに消費がついてこないという現象になる反面、夏場の一般消費は非常に強いものがある。それが、平成6年の推移である。
【背景】
平成6年は、年明けから入荷増で単価安という推移だったが、天候異変のために供給不足ぎみとなった7、8月には相場が高騰した。こうした推移を見越して、春ごろからメキシコやワシントン産などを手当てしていたダイエーを始めとするスーパー各社は、猛暑も手伝って、夏場のスイカ販売に成劫を納めたのである。
東京市場には、米国産はわずか160t程度しか入荷しなかったが、それでも、シードレスで糖度も12度前後あり、歯ざわりもシャリ感もあり、専門家を唸らせた。このことが昨年の輸入スイカブームを作ったのである。春先からメキシコ、アメリカには多くの商社、量販店がスイカの手当てに渡航して、昨夏は輸入品がすっかり定着した。
【今年の対応】
スイカの人気が近年高まっている。高齢層はもちろん、高温期のスイカは清涼飲料水よリスッキリしてうまい。スイカジュースといった奇妙なものまで商品化されている。
こうしたことから、スイカは前進化して単価を取る商材というより、夏季に集中的に量販する品目になっている。単価を稼ぐ時期のスイカは外観も問題であるが、量販期のスイ力は食味本位である。この部分に国産が対応できなければ、北米産や中国産もさらにシェアを狙ってくる。国内では近年、スイカは二番果」しか出荷しない作型用の品種になっている。これからは、二番果でも十分に食味に耐える品種が必要である。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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