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【岡本信一の科学する農業】
数値管理の指標をつくる考え方(1)
- (有)アグゼス 代表取締役社長 岡本信一
- 第18回 2013年04月12日
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今回はこの数値管理の具体的な指標を作るための考え方を整理してみようと思う。数値管理の目的は、これまで以上の収量を得るということではなく、安定的な収量を得ることに置いてみる。
一般的に言えば、収量を増やす最も簡単な方法は、不良率を下げ、出荷量を増やすことである。しかし、収量というのは実は非常に曖昧な概念で、単なる単位面積当たりの収穫量や、農産物一個当たりの平均重量では情報が少なすぎる。多くの農産物において、どの重さ(大きさ)のものがどのくらい収穫できるのかが重要である。出荷に値する大きさのものがどのくらいできるのかを把握できれば、不良を減らすためのステップが見えてくる。
究極的には出荷先が求める大きさの農産物で統一されるのが理想だろう。もし、同じ大きさに揃っていれば、農産物の価値としては非常に高くなる。もちろん、すべての収穫物を同じ大きさに統一するというのは無理な話だが、現状では、個別の農産物の大きさをコントロールするということが栽培段階であまり意識されていない。ほぼ成り行き任せに近い形で、収量の増大を狙った栽培が行なわれているのは、栽培する側だけでなく購入する側にしても個々の大きさをコントロールできないと考えているからである。
個々のデータを集めて分布の形状を知る
具体的に例を挙げて、数値管理の概念を紐解いていこう。農産物の大きさを揃えるためには、まず収量を個々の収穫物の大きさの分布として捉える必要が出てくる。通常の収量調査は、大きさ別にいくつかのグループに分けてから総重量と個数を測定するという方法で行なわれる。私の場合は、収穫物の重量を一個ずつ測定する。細かくデータを集めると、大きさの分布を詳しく知ることができるからだ。
分布というのは、例えば収量調査の結果を「10g以下」「10~20g」「20~30g」……という10g単位で分類した場合には、それぞれの分類に含まれる個数が多いのか少ないのかをグラフにすると分かりやすい。
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岡本信一 オカモトシンイチ
(有)アグゼス
代表取締役社長
1961年生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業後、埼玉県、 北海道の農家にて農業研修。派米農業研修生として2年間アメ リカにて農業研修。種苗メーカー勤務後、1995年 農業コンサ ルタントとして独立。 1998年(有)アグセス設立代表取締役。農業 法人、農業関連メーカー、農産物流通企業、商社などの農業生 産のコンサルタントを国内外で行っている。講習会、研修会、現地 生産指導などは多数。無駄を省いたコスト削減を行ないつつ、効率の良い農業生産を目指している。 Blog:「あなたも農業コンサルタントになれる」 http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/
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