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“被曝農業時代”を生きぬく

福島産農産品をストーリーとともに売り出す力(中)

風評被害で困っている福島県の農業者を支援するため、彼らの農産品を自社のブログとネットショッピングを駆使しながら、販売の支援をしてきた二本松市の任意団体・がんばろう福島、農業者等の会(現在はNPO法人)。当初の売り上げは想像以上の伸びをみせたが、震災から2カ月後を境に段々と縮小してきた。代表の齊藤登さん(53)は、企業や消費者団体が首都圏で開催するようになった復興のイベントに打って出る。(取材・まとめ/窪田新之助)

 震災から時間が経つと、支援してくれる人たちは満足してしまうんですよね。「農産品を買って福島を助けた」と。それでネット販売は段々と落ちていった。そんな時、イベントの話が持ち掛けられたんです。

 首都圏のあちこちに出向きました。イベント前日の夕方に会員のところを回り、野菜や果物を集荷する。そのまま東北自動車道に乗り、東京に近い埼玉県の蓮田サービスエリアで車中仮眠。早朝から店頭で作業を始めていました。お金がないから、最初は私が何でも一人でやっていましたよ。でも、50歳だから体力的にはきつかった。


ボランティア精神に富んだ人々

 やがて一人ではなくなる。イベント活動を続けているうち、どこからともなくボランティアとして協力したい人々が集まってきたのである。

 イベントをやっていて気づいたことがあります。それは、若者の中には被災地のために何かをしたいという人が多いこと。特に女性にボランティアの志願者が多い。まあ、店頭には僕みたいなおじさんが立つより、若い女性にいてもらった方がいいですから。やがて福島から野菜や果樹を持って来れば、放っておいても彼女たちが売ってくれるようになりました。これは本当に助かりましたね。

 それから、カトリック教会の敷地内にも店を出させてもらうことになったんです。定期的な販売ができるとあって、これもありがたい。

 最初は吉祥寺と目白の教会。それが『カトリック新聞』に取り上げられて、目黒や田園調布、高輪などの教会からも声をかけてもらえるようになった。カトリック教会も福島のために何か応援したいという印象でしたよ。当時はカトリック教会だけで、多い時には月に7、8カ所伺ったかな。「買い物過疎」と呼ばれる多摩ニュータウンにも行きました。これまでに出張したのは130回。1カ所の売り上げは平均7万円ほどですかね。

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