ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

安くなった果菜類の消費動向 トマト、キュウリ、ナス、ピーマン

果菜類は周年で供給されているが、その出荷ピークは本来の旬である夏秋期である。昨年は、年明けから春先までと年末に野菜類が高くなり、夏秋期を中心に暴落ともいえる相場推移となった。果菜類のピークの時期に価格が安くなったら消費者はさらに買ってくれるだろうか……生産者のせめてもの願いだろう。放置すれば今年の夏秋野菜の生産・出荷は減ることが予想されるが、安くなって消費が促進されることが分かれば生産の意欲は違ってくる。特に夏秋期の産地は震災被害や放射能問題で揺れる東北地方だから特別だ。昨年の相場の推移と家計調査のデータを対照しながら消費動向を見てみよう。

トマト 昨年は購入金額が1割以上も増加。夏秋期の大量消費がその後も定着か

【概況】

東京市場の昨年の入荷推移を見ると、年明けから4月までは入荷量が例年より少なかったことから高騰したものの、5月、6月と産地が関東へ移って入荷量が急増しても高値基調は変わらなかった。その後、7~9月はいつも以上に入荷したが、この時期は一転して暴落した。特に6月と8月の入荷増ぶりが目立ち、通常なら5月に終わる熊本産の入荷が6月まで続いたことと8月は関東から北海道まで軒並み豊作だったことが響いた。

【背景】

総務省による家計調査で2人以上の世帯における昨年のトマトの購入状況を見ると、前年より数量で1.5%、購入金額は10.8%も増加した。東京市場の8月の入荷量は同年1月との対比で2.5倍、キロ単価は245円と半値近くに暴落したものの、1万1000tという記録も作った。冬春の時期は単価も高く、消費に適した季節ではないため、購入は控えめだが、こうして夏場に安くたくさん出回るようなら買ってもらえる品目であることはうかがえる。

【今後の対応】

トマトは、小売店で野菜の売れ筋品目のトップであり、消費者は常にその品質や価格を気にしている。昨年2月にはトマトから脂肪肝と血中中性脂肪の改善に有効な健康成分が発見されたという報道もあった。旬である夏場に大量消費を経験すると、シーズンが終わっても価格に関係なく購入する傾向も生まれてくる。東北産地は自信を持って増産基調を維持してほしい。

関連記事

powered by weblio