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編集長インタビュー

ラジコンヘリ暴走なんて有り得ない設定だけど…



 真山 中の人はそう思うかもしれません。私は官僚批判が嫌なのです。結局、あれはエリートに対するやっかみじゃないか、と思う。確かにひどい人もいますが、国を動かすには官僚を上手に使う必要があるし、彼らに誇りを持ってもらわなければ困る。官僚を敵か味方かで見ている間は、この国は決してよくならないわけです。だから小説では確かに、期待を込めて描いています。

 昆 必ずいい方向に向かうはずだという期待は、世の中や歴史を動かす推進力になりますからね。


歪んだヒューマニズムで農業の可能性をつぶすな

 昆 真山さんの短編集『プライド』を読んで、そのタイトルが思いを表してるなと思いました。それぞれ立ち場や意見が違ったとしても、ちゃんとした人間ならプライドを持って仕事するはずだ、という問いかけがあるんじゃないですか。

 真山 そうですね。日本はプロフェッショナルを非常にリスペクトしてきた国だと思います。少々人間性に問題があっても、プロとして何かを貫いている人に対して尊敬の念を持ってきた。それがこの20年ほどで、口が上手くて短期で結果を出した人だけが評価されるようになった気がします。その結果、プロとして責任を取らない人、あるいは自虐的に破滅していくプロが増えていったんじゃないでしょうか。私にとってプロとは「言い訳をしない」人です。

 昆 自分で責任を負うということですね。農業に取り組む時も、科学的にリスク管理が証明されたものを適切に使って、お客さんに対する責任を自覚することが最低限の務めです。そうしたプライドが失われてしまったから、日本の農業が今のような状況になってしまった。もっと言うなら、敗北主義が利権化したものが現在の農業界です。負けてないと税金がもらえないし、負けないとTPP対策費がもらえない。そしてそのことに農業団体や関係者が一生懸命になっている。皆で貧しく一緒にやっていこうという貧農史観が植えつけられて、プライドも何もあったものではありません。悪いことに一般のメディアもそれに乗っかっています。それに近い枠組みはGMOの問題でも感じます。

 真山 まさに『黙示』で扱ったテーマですね。

 昆 現在、遺伝子マーカーを使った育種の技術もどんどん進んでいて、組み換えに関しても最初の頃の除草剤耐性のレベルからかなり進化している。それが1970年代の農薬批判と同レベルのことをまだ繰り返している。

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