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編集長インタビュー

ラジコンヘリ暴走なんて有り得ない設定だけど…


 昆 その通りです。たとえば砂糖は100%負けますよ。でも、それはそれで別の対策をする。コメに関して言えば、現状、日本の消費量の1割をペナルティーで輸入しているわけです。でも、どう考えても負けるとは思えません。海外から入ってくるのは、外食産業が混ぜるコメなんです。カリフォルニアのコシヒカリで、我々がおいしいと思えるレベルのものなんて、ほんのわずかしかない。

日本のお米は10aあたり500キロ程度獲れるのですが、品種によってはちゃんと作れば1tの収量が期待できる品種もある。つまりコストが半分になるということ。そういうコメは単価が安くても収益は上がりますから、国内で現在の半値で作ればいいんですよ。経営利益について考える農家が増えれば、自然とそうなるはずです。
 真山 それと私が気になるのは、日本のコメじゃないとダメだ、という意見です。あれは生活に余裕のある人の意見ですね。今後、非正規雇用が増えて国民の年収が下がれば、40代でも20代と同じ給料しかない現象が普通になって、食費が打撃を受けるはずです。その時、安いコメを使った牛丼や250円のお弁当を食べるニーズがあれば、それを提供するのも国の仕事じゃないですか。それで日本のコメ産業が壊滅することは絶対にないと思います。

 昆 だから農業に関しては、僕はそんなに心配する必要はないと思っています。少なくともお米に関しては、今より多い量が輸入されるとしても、ちゃんと作っていれば怖がることはない。コメ以外の酪農だって畜産だって、コストを下げる方法というのがまだまだ出てくるだろうし、まだまだ魅力のあるものを作れる可能性はある。そのためには多様な農業のかたちを残しておけばいいんです。

 真山 まったく同感です。

 昆 最後になりますが、本日は我々農業関係者の役割について話をしてきました。真山さんの考える小説家の役割を聞かせてもらえませんか。

 真山 ひとつは、気づきを喚起することだと思います。たとえば、さきほど話したような若い世代に対して、現実をベースにした想像図を書いて、「こういう未来にすることもできるはず」と提示する。「本当にこんなことができるのか?」と言われた時は、「あなたは小説に勝てないのですか」と答えるようにしています。たとえ非難されても、それが問題提起になればいい。あとは読者がそれをどう咀嚼していくかだと思っています。

 昆 なるほど。真山さんの小説は本誌の読者を勇気づけるでしょうね。僕は読者をなんでも持ちあげるというのは失礼だと思っています。彼らへの尊敬があるからこそ、きびしいことを書いて、プライドやノブレス・オブリージュを促す。『黙示』も同じ価値観で書かれた作品であることを強調して、ぜひお薦めしたい。ご活躍をお祈り申し上げます。

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