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重要な要因以外は排除して問題を複雑化させない
このようなプロセスを経て、土壌の硬さと株間を計測すると、ある程度の精度で収穫時のジャガイモの大きさと個数を推定できる。しかし、多くの人は疑問に思わないだろうか。種イモの管理だって関係するだろうし、施肥、品種、天候の影響もあるはずだと。
天候の影響については、今後書いていくが、品種ごとに種イモとの関係についても調べた。この調査ではC14(現ノーキングラセット)という品種がトヨシロという品種に比べて、種イモの影響を受けることが分かったが、土壌の物理特性や株間の影響の方が大きかった。したがって、二つの品種ともに、重視すべきは土壌の硬さに応じた株間を選択することになるだろうという結論に至っている。品種によってその特性は全く違うので、その関係性は品種ごとに調査しなければ分からない。調査件数の多かったC14とトヨシロについては明確な違いがあり、それぞれ土壌の影響を受けやすいか受けにくいかも違ってくる。
ジャガイモの大きさには、多くの要因が関係していると考えられるが、重要な要因以外を排除しなくてはならない。多くの圃場において土壌の硬さが影響しているとすれば、非常に重要な項目だと判断できる。一方、種イモ管理の問題が影響を与えたのは限られた一部の圃場だったとしよう。この場合、ジャガイモの大きさに関しては、当面土壌の硬さとの関係を明確にすることに集中して、種イモ管理の問題は後で考えた方が良いということが分かるだろう。
様々な要因があるからといって、すべての要因を考えすぎると、複雑になりすぎて実用的なものではなくなってしまうのである。つまり、多くのデータを収集すれば良いということではなく、重要な情報だけに集中する必要がある。数値管理については、この観点が非常に重要である。多くの場合、やみくもに多くのデータを採取して、かえって問題が複雑化してしまっている。第一ステップは、関係の明確な測定項目に絞り込むことといえるだろう。
栽培シミュレーションから数値管理の指標をつくる
さて、このように分かってきたことを一体どのように利用すべきなのだろうか。図のステップ2に移ろう。このグラフは、品種ごとに平均株間と株間偏差(バラツキ)の条件を一定にして、土壌の物理性と規格内に入る収量をシミュレーションしたものである。同様に土壌の物理性を一定にして、株間を変えるとどのように変化するのかも知ることができる。
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岡本信一 オカモトシンイチ
(有)アグゼス
代表取締役社長
1961年生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業後、埼玉県、 北海道の農家にて農業研修。派米農業研修生として2年間アメ リカにて農業研修。種苗メーカー勤務後、1995年 農業コンサ ルタントとして独立。 1998年(有)アグセス設立代表取締役。農業 法人、農業関連メーカー、農産物流通企業、商社などの農業生 産のコンサルタントを国内外で行っている。講習会、研修会、現地 生産指導などは多数。無駄を省いたコスト削減を行ないつつ、効率の良い農業生産を目指している。 Blog:「あなたも農業コンサルタントになれる」 http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/
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