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土門「辛」聞

自民党の農業所得倍増計画は新たな補助金ばらまきの伏線に

「農業所得倍増」、ご存知ですよね。TPP交渉への参加を本決定した自民党が、7月の参院選をも睨んで打ち出した選挙公約のようなものです。「攻めの農業」が目指す具体的なイメージとして、所得倍増というフレーズを持ち出してきたのです。

言い出したのは、石破茂幹事長。農水大臣を務めたこともある農政通で、この人を語るときには、「農業団体と一線を画した」という形容句がつきます。それだけに、最初、「ひょっとして、そうなるのかな」と傾きかけ始めましたが、この方が農水大臣時代にまとめたレポートをすぐに思い浮かべ、「こりゃ、質の悪い選挙公約だ」と思うに至りました。

何はともあれ、所得倍増をぶち上げた直後の石破さんの発言を紹介しておきましょう。4月21日、大分市での講演の発言を朝日新聞が伝えたものです。

「農業農村所得倍増10カ年計画。これを鮮明にすることが今の日本に必要なことだ。そうでなければ、地方の疲弊は止まらない。農家が豊かにならないと地方の疲弊は止まらない。農業をなりわいにやっている人が豊かなにならなくて、どうして農業の継続性が保てるのか。」

これだけでは二階から目薬のような話です。この4日後に自民党農林部会が「農業農村所得倍増10カ年計画」を正式決定したので、オリジナルを確認してみようと思いホームページを検索しましたが、見つかりませんでした。その代わりになるものを農林部会長の小里泰弘さんが書いたブログ記事で見つけました。

農林族議員といえば、政治の舞台での場数を踏んで一癖も二癖もあるタイプが多い。その中で、二世議員の小里さんは、経歴や外観に何となくスマートな印象を与える政治家のようです。慶応大学経済学部を卒業して野村証券に入り、父親(貞利さん)の引退に伴い、2005年の総選挙で初当選した、まだ当選3回目の若手です。その彼が、「農業農村所得倍増10カ年計画」について、ブログでこう紹介しています。 

「自民党農林部会で『農業農村所得倍増10カ年計画』が了承されました。農地集積、耕作放棄地解消、農業農村整備事業、技術研究開発の推進、水田フル活用、6次産業化、農産物輸出促進、鳥獣被害対策の15のテーマごとのビジョンと施策で構成されます。この議論をはじめる時に私は、『所得倍増といった高い志をもって議論に臨みたい』と表明しましたが、以来、議員の皆様の熱心な議論をいただき、農水省にも真摯な協力をもらいました。所得倍増という大きな目標をかかげることによって、『ではどうすればよいか』ということから、多くの知恵や有効な政策が引っ張り出されました。これらの政策を総動員して現場と一体となって、生産する喜びを実感できる農業農村を構築し、地域や担い手の所得を向上させ、もって食料安保や多面的機能の維持をはかるものです。手前味噌となりますが、かつてない、思い切ったビジョンと中身になっています。議員の皆様からは、全面的な賛意が示され、『感動した』、『読んでいて震えがくる』という声も聞かれました。みんなで作り上げた戦略です。絵に描いた餅にならないように、実行状況を定期的に検証しながら、目標を目指して頑張ります」

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