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“被曝農業時代”を生きぬく

福島産農産品をストーリーとともに売り出す力(下)



郷土料理も提供

 敷地面積は17坪。こぢんまりとした手作り感あるれる店内には椅子が18席並ぶ。その周りの木造りの棚には季節の野菜や果物のほか、ニンジンやリンゴのジュース、地元名物・ゆべしといった商品が所狭しに置かれている。店の奥のキッチンでは女性たちが料理の腕をふるう。

 店長は神奈川県在住の主婦、阿部直美さん。震災後、首都圏で農産物を売る時には何度も手伝いに来てたし、自らも販売してくれた。店で郷土料理を出したいというので、オープンまでずっと地元の人に付いて勉強してくれました。

 ここの名物は、たとえば「こづゆ」なんかを時々出しますね。こづゆですか、福島県会津地方の郷土料理で、めでたい席では必ずといっていいほど出てくる汁物ですよ。ホタテの貝柱でだしを取り、しょうゆをベースにダイコンやニンジンなどを煮込んであります。おいしいですよ。

 ドリンクにもこだわっています。福島の地酒や地ビール。有機ニンジンジュースや桑の葉茶もそろえています。それから福島県有機農業ネットワークのグッズ、たとえばTシャツやてぬぐい、エコバックなどもあります。

 原発事故との闘いは、おそらく30年や40年は続くと思っています。ですので、この店はビジネスとして継続させていきたい。今は大手企業から助成金を頂いていますが、それは数年で終了の予定ですから。1年目から黒字を目指すため、まずは毎日の売り上げは10万円を目標にします。ぜひ多くの方々に来てもらいたいですね。

 この店を作ったのは、もう一つ、都内に避難している福島の人たちが互いに交流してもらえる場所を用意したかったことがあります。さっそく、オープン前の日に彼らを招いて、交流会と試食会を開きました。これからも来てもらうために、色々とイベントを仕掛けていきますよ。


福島で勉強会を開催

 放射能汚染の実態や福島の農業のことを現場で知ってもらいたい。齋藤さんはその思いも形にしようとしている。オルガン堂のお客さんにはすでに、喜多方市での堰さらい、二本松市での農業体験などを募集してきた。

 首都圏の方々には福島に来てもらいたいんです。その仕掛けとして、オルガン堂のホームページで各種プログラムやツアーを紹介しています。また、私が経営する二本松農園を、放射能を勉強する場所「スタディーファーム」として提供しています。重機を使って数mを覆土し、その効果の検証をする。また、震災後に福島の農業に何が起きたか、私のハウスでパワーポイントを使って説明する。意外かもしれませんが、そんなことを学びたいという都会の人は多いんですよ。

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