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人生・農業リセット再出発

三流は金を、二流は名を、一流は○○を残す

隋の薬剤師が長寿の秘薬を作るのに硝石、硫黄、木炭を混ぜ、火に近づけたら爆発した。これが火薬の発明の瞬間である。明治維新前ごろのイタリアでは、化学者ソブレロが薬品一滴をビーカーに入れて熱を加えたところ爆発し、破片が飛び散って顔や手に深く突き刺さったことから強力な爆発威力のあるニトログリセリンを発見した。鉱山で使われるようになるが、振動だけでも爆発する一触即発の危険な液体は大勢の命を奪った。

 ソブレロと同じ頃、スウェーデンの首都ストックホルムで、貧乏発明家を父に、8人兄弟の四男として生まれたアルフレッド・ノーベル。父は、合板を発明、クリミヤ戦争の兵器製造でも成功して裕福になる。アルフレッドは化学や語学を習得し、後にフランスの爆薬化学者ペルーズの下で勉強する。この時、同じ門下生にソブレロがいた。不安定なニトログリセリンを何とか安全にコントロールできないかとアルフレッドは日夜研究し、起爆装置の雷管を発明する。そして、危険なニトロの運搬中に使用していたクッション用としての珪藻土とニトロを混合させて粘土状にしたものが有効であることを突き止め、ギリシア語で「力」を意味するダイナマイトと名付ける。これで特許を取ると猛烈な勢いで世に広まり、技術応用でバクー油田や戦争兵器開発などで一躍大富豪への道を進むことになる。だが、改良実験を重ねているうちに、爆発事故で悲惨な死者も数多く出ていた。そんなある日、アルフレッドは新聞に大きく報じられた記事を目にして驚いた。「死の証人、ついに死す! 可能な限りの最短時間でかつてないほど大勢の人間を殺害する方法を発見して巨万の富を築いたアルフレッド・ノーベル博士が昨日死亡した……」。実際に亡くなったのは兄リュドビックであり、新聞はアルフレッドと取り違えていたのである。アルフレッドは天を仰いだ。これだけ長年の努力をしてようやくつかんだ栄光、ダイナマイトは広く世の中に役立っていると思っていたのに、世間は私をこのように評価するのか……。

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