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昆 たしかにJA全農のような組織がありますからね。
高米価の問題
昆 米政策改革大綱ができた02年の段階で10年までに段階的にその変化をしていこうというのは、非常にいい考えだと思ったんですよ。
林 段階的ということであれば、先ほどお話ししたように、今は面積ベースから数量ベースになり、流通も規制はなくなり、相対でやるということですから、進んできているといえるのではないですか。
昆 いや、国によるコメの生産や流通の規制は別の形で残ってしまっています。たとえば、弁当業界が窮状を訴えているそうですが、昨年彼らに起こった事態はよく分かるんですよ。あるいはせんべい屋も同じような状態にあります。
林 それは米粉のことですか?
昆 いや、米粉ではなく、くず米を使っています。ご存じだと思いますが、昨年、くず米が足りなくなったんですよ。驚くことに主食用より高いくず米が出てきた。つまりは減反が効き過ぎてしまったんです。新規需要米には10a当たり8万円支払われるわけですから、コメの生産がそっちにシフトしてしまった。おまけに、昨年はコメの品質が良かったものですから網下が少なかった。それで逼迫してしまった。弁当屋さんとか安い外食屋さんとかのご飯はかなりひどいものを使っているんです、米価が上がったから。そういう安い需要のある店のコメがですね、より安いものになっちゃう、と。それで弁当はまずくなる、外食のご飯はまずくなる。「貧乏舌」という言葉があるそうですね。
要は、おいしいコメとまずいコメの区別がつかないということだそうです。今のような状態が続けば、海外のコメがどんどん入ってきちゃうということになりかねないんですよ。
安くて、そこそこのコメを作るのが大切なんです。国の農業試験場は減反政策以降、多収米の開発をしてきませんでした。一方、民間企業はハイブリッドで1tぐらい取れる品種を開発している。この品種を関東から南の読者に作ってもらいました。それをおいしい米に混ぜれば、そこそこの味になるんですよ。特定の品種だけを単品で使う店はありません。どこも混ぜて使っているわけですね。
林 私が独禁法と申し上げたのは、本当に全部自由にしてくださいとなれば、大きいところがどんどん大きくなってしまう。生産だけでなく流通のこともあるわけですよ。
昆 コメというのは産地の多様性、品種の多様性がありますから、そう簡単には独占できないですよ。心配だとおっしゃられるけれども、ではなぜ農協がこんなに集荷率を減らしているのかが理解できません。
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林芳正 ハヤシヨシマサ
農林水産大臣
1961年山口県生まれ。1984年東京大学法学部を卒業後、三井物産(株)入社。91年ハーバード大学政治学大学院特別研究生として渡米。92年9月ハーバード大学ケネディ行政大学院に入学。93年2月に父の林義郎大蔵大臣から政務秘書官に任命されて帰国。94年6月ハーバード大学ケネディ行政大学院修了。95年参議院議員選挙で初当選。99年大蔵政務次官、06年内閣府副大臣、08年防衛大臣、09年内閣府特命担当大臣などを経て12年12月から現職。
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