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林 今の状況がそうなっているわけではなくて、あくまでもそうならないように抑えるために独禁法があるわけで。実際に工業製品では起こっているわけですね。そういうところも含めて、米政策改革の方向に沿って着実に進めていくということだと思います。
昆 今の話にかかわるんですが、自民党としてですね、いってみれば高米価誘導策といいましょうか、米価を高く維持しようとする勢力がありますが、これは日本のコメ農業の自殺行為だと思うんですよ。高ければ海外から入ってきてしまう。日本は安く作る能力を持っているんです。僕はTPPに賛成ですが、それはちゃんとやっていけば心配ないことであって、今のように高米価を維持していたら危ないと思うんですよ。
国際化時代の水田農業
林 その点はちょっとお聞きしたいんですが、日本で現在のGDPレベルや水田の規模で、収量の高いものを作ることによって、本当に競争力が出ると思いますか?
昆 品質も含めて十分に出ると思いますね。それと農地を集積していない、規模が小さいから勝てないと言いますが、うちの読者は稲も麦も大豆も種をまくまで作業は同じなんです。あるいは水を入れて湛水の直播をしたり、代かきをしないで田植えをしたりするんですよ。
農家だけでなくコメにかかわるすべての人々がどれだけ努力するかしかないでしょうね。そのためにも農業構造改革を進めないといけないし、水田のイノベーションが起きないといけない。
林 選択肢として飼料用米だってあるし、トウモロコシもあるということでしょうが、そこは需要に合わせてということになると思います。
昆 コメの量が減ったとしますよ、でも、水田農家がトウモロコシや大豆で飯を食えたらいいじゃないですか。新しい時代の水田農業経営がどう成立するか。これと中山間地対策はまた別の問題です。
林 やっぱりトータルで考えないといけないですね。
昆 どうしてもコメ偏重になること、そこから自由になることが大切です。
林 あまり目くじら立ててコメが駄目という必要はないと思います。
昆 もちろん。ただ、減反している100万haでトウモロコシを作りましょうよ、と。全部でトウモロコシを作っても、国内需要の1割を満たすほどにもならないんですよ。それでもご提案するのは、水田の可能性を拓くために餌を作るべきじゃないかということだからです。
林 いろいろと試して、可能性を引き出していくのは大事でしょうね。
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林芳正 ハヤシヨシマサ
農林水産大臣
1961年山口県生まれ。1984年東京大学法学部を卒業後、三井物産(株)入社。91年ハーバード大学政治学大学院特別研究生として渡米。92年9月ハーバード大学ケネディ行政大学院に入学。93年2月に父の林義郎大蔵大臣から政務秘書官に任命されて帰国。94年6月ハーバード大学ケネディ行政大学院修了。95年参議院議員選挙で初当選。99年大蔵政務次官、06年内閣府副大臣、08年防衛大臣、09年内閣府特命担当大臣などを経て12年12月から現職。
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