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イノベーション(創造的破壊)を実現する経営者の思考とはこういうものではないか。全国のたくさんの読者が勝部農場に学び、勝部農場とは別の形でさまざまなイノベーションに取り組んでいる。
経営者の数だけ経営の形は有り得るわけで、規模拡大だけがイノベーションではないことは、終戦直後の勝部農場が取り組んだことを見れば分かるはずだ。
イノベーションとは、時代と社会やマーケットの変化を予見し、常識にとらわれずに未来から逆算した今日を創ろうとする経営者によって実現されるのだ。水田農業は、我が国の農業のなかでもとりわけ政策依存度の強い形で続いてきた。そして、我が国はTPPへの参画を決めた。このままの状態が続けば間違いなく水田農業は安楽死してしまう。であればこそ、今が水田農業のイノベーションを起こすチャンスなのだ。
政策依存ではなくマーケットを見つめれば、水田経営には改革と成長の余地がたくさんある。機械化、経営戦略としてのコメ品種や作物の選択、取引のあり方、経営利益の考え方などなど。現実の経営手段の選択から、トウモロコシを含めた飼料穀物を水田経営に取り込んでいくことまで、テーマは多岐にわたる。
一方では、今月号の林芳正農水大臣のインタビューにあるような政策的働きかけもしながら、農業経営者や関連業界の皆様と共に、「経営実験」に取り組みつつ、「水田農業イノベーション」をテーマとした新シリーズを始めたい。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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