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専門家インタビュー

米韓FTAを通してみるTPPの誤解


一言でいえばそうですね。それに韓国も米国とのFTAに向けて相当な資源を投入したので、それほど不利な条約になるわけがない。日本でここまで不利な条約ととらえられてしまっては、韓国の名誉のためにもよろしくないだろうと思ったんです。

もう一つは、TPPについて正しい議論をしてもらいたいということがあった。米韓FTAに反対するために使われたロジックだけをみて、日本でもTPPに反対していたら、きちんとした議論をしたときに反対論は足元から崩れ去る。TPPへの反対を、米韓FTAを根拠にしてやるのは無理なんですね。毒素条項に関する反対派の主張はかなりの部分では間違っているわけですから。きちんとした議論を進めるためにも正攻法でいったほうが良いということです。


壊滅からはほど遠い
影響試算

――米韓FTAでは日本と同じように、韓国側が農業の自由化に強い懸念を抱きましたよね。最終的な扱いはどうなったんですか?
韓国にとってセンシティブ品目はコメと畜産でした。コメは交渉の途中で除外できたので、懸念事項から消えた。できれば牛肉まで守りたいという思惑があったんですが、米国の強い主張があって結局は譲歩せざるを得なかったんです。最終的には牛肉は40%だった関税が15年後にゼロに、豚肉は22・5%の関税が10年後にゼロにすることになりました。

――批准前に韓国国内では相当もめたのではないですか?
農業は壊滅する、という主張はだいぶ強かったですね。

――でも、先生の著書『米韓FTAの真実』を拝読すると、それでも韓国の畜産が壊滅することはないという見解ですよね。
ええ。韓国農村経済研究院の推計を参考にした判断です。この数値を基にしたのは、これを上回る被害額を出している研究報告はないからですね。この推計で米韓FTAの影響で韓国の畜産がどうなるか見ていくと、韓国牛については関税が完全に撤廃される15年目の生産減少額は4400億ウォンです。基準となる2010年の生産額は4兆9000億ウォンだったので、1割の減少ということになります。

――1割ですか、意外に小さいですね。
そうですね。この1割を「壊滅的」と表現するのは僕も疑問があるんですが、もう一つ付け加えたいのはあくまでも「2010年の生産額と比べて1割」ということ。というのは、韓国牛の生産額は09年までの5年間に40%以上も増えているんです。このままいけば22年には生産額が5兆7000億ウォンになる見込みで、減少額は比率からいったら7、8%でしょう。

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