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日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識

繊維を分離する一次加工の方法(3)


山東省では、新しい麻の溜め池が推奨されている。それは2つの晒水池(さい すい ち)と6つの麻漬け池と1つの麻洗い池から構成され、順番に麻を漬けていく方法である(図1)。給水時に17℃だった水温は、晒水池を通ると23℃になり、麻漬け池を通って底にある出口の方へと流れる。麻漬け池内の温度を一定にすることで、麻茎の発酵が均一になる。この方法で労力を少なくし、作業時間を短縮できる。さらに麻洗い池があることで、洗ったり干したりする手間が省ける。麻漬け池は左右の長さが5~7m、幅3m、深さ1・5mで、池の両端に入水口と排水口がある。池の底と壁四面には石が積まれ、泥水の発生を抑え、汚泥で繊維が染まらないように工夫されている。
麻漬け池に入れる前に、麻洗い池できれいに汚れを取り除き、麻茎についている枝葉を切り落とす。その麻茎を束にして池に投入し、上から石を載せて池の中に押し込む。麻全体が池の中に漬かるように、麻茎の束を水深15cmぐらいにとどめ、その後は発酵状況に注意を払う。池の水が灰緑色に変わり、発酵臭が漂い始めて水面に小さい泡を浮かべていたら、麻茎の一部を取り出してみる。麻茎の根っこ部分に小さい水泡がついており、手で触ると麻茎が粘っこく、容易に皮がむけるようになっていると、発酵がちょうど良いことを示す。すぐに池から取り出して麻茎の粘着物を除去し、池周辺の草地で半日干しておくと麻皮が白くなる。麻茎を干した後、すぐに麻茎から麻繊維をはぐ作業をする。麻繊維をはぐ作業はすべて手作業で行なわれており、通常は一人で1・5~2・5kg/日の麻繊維をはがす。夏の場合は水温23~25℃の麻池に2~3日、秋の場合は水温20℃前後で約7~8日間漬けておけば良い。


事例紹介(5)
ヨーロッパの雨露法

雨露法は微生物を使った脱ガムの中で最も簡単で、最も原始的な加工方法である。亜麻(フラックス)にもよく使われている。ヨーロッパの麻栽培では現在でも行なわれている方法である。
刈り取った新鮮な茎をそのまま寝かせておくと夜露にさらされる。水分があって温暖な環境下で好気性細菌が活性化され、細菌の菌糸が伸びてぺクチンを溶かし、麻の繊維を分離する。発酵までに1~2日かかり、一般的な気温条件下での発酵時間は、1~2週間、気温が低い場合は4~5週間となる。雨露法では、麻茎中央部を曲げて、木質部と繊維部を分けようとしたときに弓なりになっていたら、発酵がちょうど良いことを表している。適度に発酵した麻茎は、根っこまで完全に繊維をはぐことができ、発酵不足ならば繊維が途中で裂ける。

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